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立ち呑み日記・タンク型給湯器 [困った!]

ポタ・ポタ・ポタ・ポタ、と、バスルームの給湯タンクからもう、うんッざりするまでの水滴の音。

八分音符を刻むごとく、素早くポタ・ポタ・ポタ・ポタ・・

放置するとそのへんいちめん水浸し、のみならず階下に浸透して住宅保険を巻き込んだエラいことになりますから、盥(たらい)代わりにプラスチック製ゴミ箱をポタポタの下に置いてあります。

うちの温水タンクのリズムが狂いました。

フランスの多くの家庭で使われている給湯タンク、タンク外へのポタポタは実のところ当然なんですヨ。タンク内で水が温められると蒸気で内部の圧力が高まるので、その圧力を逃がすためにポタリ・・・ポタリ・・・と水滴が外に落ちるしくみになっていて、その水滴は空き缶みたいな受け皿から排水管へと流れていきます。

そのポタリ・・・ポタリ・・のテンポが早くなり過ぎると、受け皿からあふれ出ちゃう。

こうなったのは訳があり、ワタシが買い物に出ている間に二階下の一人暮らしの青年が助けを求めに来たらしいんですね。

青年の部屋の給湯タンクが必要以上にポタポタして止まらず
「配管工さん紹介してくれませんか」
というわけです。

まかせなさい、と、家にいたオットが青年を招き入れると、うちの給湯タンクで状況の詳しい説明をしてくれたそうです。

ただ、わがオットは無類の機械オンチ、説明を聞いたところでどうにもなりゃァしない。

「圧力レバーがバカになっちゃったみたいなんです、ホラここのところ」
と、青年はうちの給湯タンクの圧力レバーに手をのばし、条件反射的にひゅっと動かしたもよう。

するとたちまち、うちの給湯タンクも必要以上のポタ・ポタ・ポタ・ポタ・・が始まってしまった。

「なんでいきなりグッとやっちゃったんだかねえ」
と、大慌てで呼んだなじみの配管工さんのこぼすまいことか。

配管工さんは、青年のところとうちと階段を上がり下りしながら同時にあんばいすることとなりました。

青年のタンクは幸いにもイッパツで正常に戻りましたが、うちは、ダメ(涙)。配管工さんがあれこれして、やれうれしや元通りになった、と胸なでおろしたその矢先、またぞろポタポタ始まっちゃう。

「そのうちしぜーんとおさまるんじゃないかね」
と、配管工さんは暢気なこと言って帰り支度を始めます。

「おねがい見捨てないでッ」
と、すがりつく勢いのアラフィー女(ワタシです)をふりきるように、配管工さんは去って行きました。

フランスの給湯器って、まったくもうどうしてこんなポタポタのしくみなんだか。日本の給湯機にポタポタ、ついてるでしょうかッ。

外部にポタポタさせなくていいしくみになぜ開発できないんだか(ドン、と机を叩く)。

フランスのタンク型給湯器は、20世紀初頭にフレデリック・ソテーというスイス人が開発したものだそうです(今もソテー社といったら大手です)。

やっぱり、当時、産業革命を経たところで、産業革命といえば蒸気機関ですから、家庭用給湯器でも蒸気の存在をポタポタで確認したかった、ん、でしょうかネ。

配管工さんの見立て通り、過度のポタポタはしぜーんとおさまりました。


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モンダイの箇所がこれです。ポタポタがいったん外の目に触れます。そうならないしくみでもいい気がするんですが、考えてみればディズニーランドの室内型ジェットコースターも一瞬外に出ることがありますが、あれと同じ感じなんでしょうか。

前菜は、アボカド、レモンで
主菜は、七面鳥ささ身ムニエル、野菜クスクス、いんげん塩茹で



立ち呑み日記・新しい冷蔵庫 [困った!]

冷蔵庫がついにダメになりました。

と、いいますか、
冷蔵庫がダメになってることに、ついに気づいた。

ないしはむしろ、
冷蔵庫がダメになってると実は気づいていたことに、ついに正面切って立ち向かった。

冷えないなあ、とはずっと思ってたんですよ、それももう何年も前から。

「冷蔵庫にシャンパンがキリッと冷えてるよ、シェリー」
なんてセリフがテレビのホームドラマであったりすると、画面の向こうの夫婦をうらやんだりしていたんです。

うちだってシャンパンは時に冷蔵庫に入るものの、「キリッ」まではここ何年も到達し得なかった。

(最近の冷蔵庫は温度制御がきいてるしこんなものよね)
と、われとわが身をナットクさせてここまで来ました。

先代の冷蔵庫は1970年代の代物で、これが冷えすぎて氷ができちゃうくらい。

それもまあちょっとあれかと、20世紀末に台所をやり直した機会にビルトイン形式のものに買い替えたのが、これです。

腰の高さの上方が冷蔵庫で、下が冷凍庫。

それまでちゃんとした冷凍庫がなかったのでそりゃァ嬉しかったです。冷凍食品屋さんからあれもこれも買い込んで収納してみました。

ただ、うちは市街地にあるもんですから、たとえ夜半でもスーパーやテイクアウトへ買いに走るなり気軽な食べ物屋に行くなりすれば冷凍食品の出番はこれといってない、ということに改めて気づかされることになります。

それでも、ちびすけたちにのませた母乳や離乳食の冷凍には重宝しましたヨ。

冷蔵庫はうちの狭い台所の戸棚代わりでもありお味噌や梅干しまでも、温度高めとなる最上部の、チーズボードの隣りに並びました。

それがこの間、久々に田楽でもしようかとタッパーで保存していた「天然麹味噌」をとり出したら、目を覆うばかりになっていた。

カビか麹かはたまた菌(きのこ)か、薄気味悪い白いプツプツがみーっしり、タッパーから這い出る勢いで繁茂している。

隣りにあったチーズボードの発酵菌と味噌の天然麹がどうも呼応しちゃったみたいなんですね。ここへきてついに冷蔵庫の寿命と向き合うべきと心が決まりました。

味噌が腐る冷蔵庫って、どうよ。

そのわが決心を冷蔵庫自身が察知したか、冷凍庫が急に役割を放棄した。

ホントにわが心を読んだようなタイミングでした。年末の一時帰国前に予備食にと買いおいた冷凍食品をとりだそうとしたら、ありゃりゃ、溶け切った霜とともにどっふりの水浸し。

つい前日まで冷凍庫のほうは何ともなかったのに。

電化製品って、重宝して使っている間は蜜月といってもいいほどの仲なのに、ひとたび買い替えの決心がつくと実にそっけなく心離れしちゃうものですナ。

未練も何もなく量販店に行き、店員さんにかくかくしかじかのビルトインと伝え、これまでと同等の冷凍冷蔵庫購入とあいなりました。

配達までの日々を窓辺の天然冷蔵庫でしのぎ、ついに新品がビルトイン。

同じ電化製品でもパソコンやスマホなら新品へのワクワク感もありましょうが冷蔵庫ではそうもならず、野菜は野菜室に乳製品はこの段にと以前通りにさっさと戻りました。


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晴れてますけど、氷点下の朝です。

前菜は、野菜ポタージュ
主菜は、鶏ローストの残り肉と残りじゃがいものスペイン風オムレツ、いんげん塩茹で




立ち呑み日記・絶滅した食べ方 [困った!]

東海林さだお様の御著書『レバ刺しの丸かじり』新潮文庫のみかんが登場する章を読んでいて、(エエエエエー!)と、そりゃもう天と地がひっくり返るほど驚きました。

みなさん、みかんってどうやって食べます?

大作家は、カワをむいて三つぐらいに割り、
「ブロックごとポイと口にほうりこむ」

ワタシも在住四半世紀を越えたパリで、フランス語でいうところのクレマンチーヌやマンダリンという南仏やスペインやコルシカ島あたりの名産みかんをそうやって食べているので、ここまでは普通に読みました。

なぜ、クレマンチーヌやマンダリンをブロックごとお口にポイかといいますと、みかん自体が小粒なところふさとふさが堅固に密着してい(るような気がし)ていちいちふさひとつずつに分けるのがメンドくさいから。ふくろごとのみこんじゃいます。

天地がひっくり返ったのは、次でした。

「昔はどうだったか」
という問題提起があり、ひとふさずつ口に入れ中身をチュッと吸った後にフクロを口からひしぎ出しむいたカワの中に収める例の食べ方を、今は完全に絶滅したものとして紹介なさっているんですね。

「あれも食べたいこれも食べたい」の1989年にもみかんをテーマにした「危険な話」という章があり、このときはチュッと吸ってふくろを口から出す食べ方が当たり前だった。

それがほんの20なん年の間に、日本人のみかんの食べ方がガラッと変わってしまった。

ワタシ、ふくろを口から出す食べ方が日本で絶滅していたとはつゆとも知りませんでした。愕然とはこのこと。わが身のウラシマここに極まれり。

みかんのふくろ 口から出す
とこう慌てて検索すると、アンケート記事を見つけました。

その回答者のほぼ全員が、
「出すわけない、ふさごと食べる」

「出す」に関しては、
「義母がそういう食べ方をして汚らしい」
「夫がそういうことするのが上品と思い込んでいるのが心底イヤ」
「出す人本当にきったない、やめてほしい」
と、そりゃもうさんざん。

みなさん、いつごろからふさを口から出すの、やめたんですか?

考えてみればワタシなどもうなん十年になるんだか、冬に一時帰国した折にみかんに手を出すこと、なかったです。

なぜというに、大人になって久しい今日お三時は食べないし、食後にしてもオサケをクイクイやってるとデザートまで到達しない。

クレマンチーヌやマンダリンの酸味のきいた味に慣れてしまった身には甘さの際立った日本のみかんがチト甘すぎてやや敬遠、というのも正直なところないとは言えないです。

昔は、大好きだったなァ・・

冬になると玄関の外に箱で買ったみかんがあり、六つも七つもいっぺんに食べました。外気で冷えたみかんの美味しいこと、チュッチュッと吸って歯でしごき出してはカワにもどした食べ殻の小山がコタツの上にたちまちに出来たもンです。

大学受験の時、お昼休みに隣りの席の子がお弁当の包みを開けたらみかんが六つゴロンところがり出てきた光景も、今こつ然と思い出しました。

ふくろまで食べるとなればお腹もふくれましょうから、今、みかんを六つも七つもいっぺんに食べる人っていないのではないでしょうか。


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クリスマス前はにぎにぎしく感じたイルミネーションも1月半ばを過ぎるとどこか寒々しい(気がする)。寒いのはまだまだこれからです。

前菜は、クレソンのスープ
主菜は、鱈(たら)そぎ身フライ、刻みパセリをふってオリーブ油をふったじゃがいも塩茹で、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・取っ手と信頼 [困った!]

ガラガラドッシャーンッ、と、そりゃァもう耳をつんざく惨事でしたヨ。

今出来上がったばかりで湯気モウモウの仔牛肉とジロール(香り茸)とじゃがいものクリームソテーをフライパンごとテーブルへ運ぼうとした矢先、あろうことか取り外しできる取っ手がゆるんで床いちめんにびっちゃりいっちゃった。

ショックとはこのこと、しかも今宵はムスメのお誕生日の晩餐、ムスメのリクエストで仔牛肉とジロール(香り茸)というご馳走だったんです(号泣)。

一家全員の晩ごはんをみすみす消滅させていいわけもなく、床の上であッつあつの湯気たてているところから肉と茸とじゃがいもをおたまですくいだして水道でジャージャー洗い、フライパンにもどして改めてクリームで味つけし直しました。

にっくきは、取っ手。

予兆はでもずいぶん前からあったんですよねえ・・

パチンと嵌(は)めても、以前と比べて明らかにガタついている。

うちの鍋とフライパンはいつ買ったんだったか、10年前ではきかないのは確かです。21世紀になるずっと以前のことで、取っ手はとっくの昔に寿命を迎えていたんですね。

それをだましだまし使っていたほうが悪かった。なにしろ鍋とフライパン本体も、テフロン加工が完全に剥げ切るまでになっています。

今回はこのままやり過ごすわけにもいかず、新しい取っ手をデパートへ買いに行くこととあいなりました。たかが取っ手、ひとつ16ユーロ(約2000円)もします。

テファール社コーナーを見回すと、実に気軽な感じに取っ手がぶらさがってました。10年間保証! という自信に満ちた惹句。

10年の長きにわたって壊れないとはすごいなあ、
とは思いますけど、10年なんてアッという間にたッちゃうもンです。だからこそわが身に巻き起こった「惨事」。

しばし考えた末、取っ手3つをかごにとります。うちは火が4口ありますしね。

で、家に帰り、すぐさま晩ごはんのしたくを始めたわけですが、ああいう「惨事」ってちょっとしたトラウマになりますナ。

全幅なる信頼というものを、もはや持てなくなる。

たっぷりの塩湯がぐらぐらしている鍋へヘタをとったいんげんふたつかみばかり放ち、さっとゆがいたところでシンクの金笊(ざる)にこぼすわけですが、このとき
(またしても取っ手がはずれちゃう、かも、しれない)
と、疑心暗鬼に陥(おちい)っちゃう。

幼少期の心の傷がもとで他人の存在を認められないなどから信頼する心を取り戻すための心理的療法として、後ろに倒れ込んだところを背後から誰かにしっかり抱きとめてもらう、という方法があると聞いたことがありますが。信頼感無しに後頭部から背後へ倒れ込むなどできるものではないですからね。

ワタシも、その療法を受けたほうがいいのか。

「てゆーかふつうの取っ手固定式鍋フライパン使えばいいんじゃないの?」
というお声がみなさまの中から聞こえて来たようですが、今の取っ手可動式鍋フライパンに換える以前、両手なべを持った途端にあろうことか片側が壊れ、やはりあッつあつをぶちまけているんです。

いずれにしても取っ手への信頼モンダイは深刻でございまする。


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はっ。今日写真撮り忘れちゃったと窓辺の植木鉢を大急ぎでパチリ。晩ごはんにお招きしたオットの古い友人ご夫妻からいただきました。

前菜は、アボカド、レモンで
主菜は、仔牛肉(芯の柔らかい部分)とブロッコリー・カリフラワーのクリームソテー、じゃがいもピューレ、グリーンサラダ


立ち呑み日記・イチゴ盗っ人 [困った!]

「美術でひッどい点数もらっちゃった」
と、学校から泣きの涙で帰って来た14歳のムスメ。

どれどれと見てみると、
(ありゃマそりゃそうでしょうねえ・・)
と、心底納得できるまでの幼稚園児の絵です。

とんがり帽子の魔法使いが杖を振り上げ、その前に置かれている指輪から光線が十文字に長く伸びている・・
トまあそんな感じの代物が描かれています。

低評価は絵の巧拙というより、
「授業で学習した絵画の技法があいまい」
で、
「絵の中における関連性と物語性が的確に表現されていない」
から、だそう。

テーマにちゃんとのっとってもう一枚家で仕上げて来たあかつきには採点し直す、
と、先生は請け負ってくださったそうな。

「でも何描けばいいかわかんないし」
と、ムスメは絶望的に泣きぬれます。

困ったわねえ・・と、ムスメに尋ねたところによると、絵画の技法というのはドラクロワの「民衆を導く自由の女神」を見ながら学んだそうです。

ホラ、乳房も露わに片手のフランス国旗を掲げた女神が死屍累々を踏み越え民衆を率いていくあの有名な作品。

中央の女神にまず目が行くと、その両脇から後方へ続く民衆へと視線は自然に移り、再び女神から上方に掲げられている国旗へと視線がまわる・・というような「流れ」が、絵の中にできている。「流れ」は、遠近法や陰影、関連物が一線上に並んでいる、などから出来上がるもののようです。

関連性と物語性は、ラトゥール「いかさま師」で。

ホラ、卓を囲んでトランプの真っ最中で、よこしまなマダムの視線の先には背中に札を隠し持った若者・・というように、ひと目で状況の物語性がわかる名作。

以上をふまえ、見る者の視線を動かしつつ関連性と物語性に富んだ絵といったら、どんななんだか・・

・・と頭悩ます間もなく、オカーサン(ワタシです)はぱっと思いつきましたね。

「パリの舗道でキスしているカップルの女性のほうが片目開けて通りがかりの容姿のいい男へ目移りのウインクしてる、ってのはどうかしら」

「そういう不道徳なのは学校に提出できない」
と、泣いていたはずのムスメは冷静沈着な声を出しました。

「なぜそんなシーンを思いついたんだい?」
と、騒ぎを聞きつけてやって来たフランス人のオトーサン(ワタシのオットです)もいつになく深刻な顔で詰問してきます。

ンなこと、思いついちゃったものは仕方ないじゃないの。

それにパリの街並みを描くのは複雑というので、もう少し知恵を絞ることにしました。ムスメはおやつをもぐもぐしながら、日常のありふれた光景から考えているもよう。

けっきょく、自分らきょうだいの小競り合いをヒントに、二人の子どもがおやつのケーキをぱくついている食卓で、一人が「あっ」と中空を指さしたのにもう一人が気をとられた隙にケーキの上のイチゴをかすめとる、という構図に決めたようでした。

モデルをたのまれたオカーサンは、「あっ」と上方を指さしもう片手のフォークを横の皿に伸ばしたなりで静止、次いで「へ?」とオマヌケな口半開きでフォークにぎったままつられて上方に目をやったなりで静止、の、一人二役をやらされました。


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秋休みに南仏の親戚の家に行ったときになにの看板??!! と、驚いたんですが、かつてのような自然を取り戻すため、東欧から熊を持って来て野生に放したんだそうです。出会いたくないナ。

前菜は、鶏出汁野菜ポタージュ
主菜は、あんこうのホッペタの唐揚げ、さいの目のにんじんと根セロリ入りソース味炊き込みご飯、いんげん塩茹で



立ち呑み日記・ニンニクつぶし [困った!]

みなさんチの台所に、ニンニクつぶし器、あります?

うちはあります。二代目です。この二代目がしかし、すこぶるよろしくない。

二代目になってかれこれ十年以上にもなるんですが、使うたびに毎ッ度、(もうイヤッ)となるんですよねえ・・。ふゥんッ、と、全身全霊の力をこめなきゃならない。それはもう頭の血管がきれるかというほど。

初代は、万事よろしかったんです。

屋外マルシェの、台所用品専門屋台あたりで適当に買ったもので、アルミの簡素な格安普及品。ずっしり持ち重みする高級品と対極のペナペナですが、ニンニク入れてぎゅっとにぎれば瞬時につぶれました。

穴には詰まりましたけどネ。でも指でチャッチャカチャーとこそげばすむことです。

そうやって常用していましたが、別れは突然やって来ました。ワタシの濫用、自業自得です。固い、銀杏みたいなヘーゼルナッツをいい気になって割ったんですね。

アルミのペナペナだとは百も承知なものの、ふたつ、みっつ割ったらあんばいよかったので、よっつ、いつつといった。

「これはにんにく専用で木の実割り器ではないでしょ?」
と、傍のオットに注意されたものの、
「なんのこれしき」
と、ガサツを通していたら、あらら。

むっつ、ななつめで、ペナペナの底が抜けちゃった。

予想出来ていた結末です。仕方ない、いい機会だから上等のに買い直そう、と、地下鉄でデパートに赴きました。

友人の食卓で、実に素敵なのを見たんです。

その日は、主菜のつけ合わせにスパゲッティーが出たんですが、パスタは塩茹でのまままで味つけはなし。おろしチーズのボウル、塩胡椒、それに小皿のニンニクとニンニクつぶし器がまわり、各自お皿で好きに味つけする趣向でした。

フランス人ってパスタのこの食べ方、けっこう好むんですヨ、こういうところにもやはり個人主義がにじみ出るンんでしょうかネ。

このときのニンニクつぶし器には瞠目でした。

ニンニクは潰(つぶ)れるのではなく穴からトコロテンよろしく細長く出て来る。飛び散ることも、指でこそげる必要もなく、卓上使いにうってつけ。イタリア製とのことでした。

ワタシは、これと同じものが欲しかったんです。ところが、デパートをはしごしたっていうのに、ついに見つかりませんでした。

仕方なく、持ち重みだけは似通っていた別のを手に取りました。逆Tの字の押す部分が可動で、よりうまくつぶれるに違いないとふんだんですね。しかるべき値段もしました。

が、この可動式があだとなり、むしろ力がうまくこめられない。

もうイヤーッ、と、毎度絶叫しながら(心の中で)ニンニクつぶさないとならない人生って、どうよ。

「ならなんで買い直さないの?」
と、みなさま不思議にお思いでありましょう。

当人のワタシとて同じです。が、いまだ実現ならず。

なぜというに、ニンニクをつぶすのは料理中のほんの一瞬、つぶし終わるとニンニクつぶし器のことなどすっかり忘れちゃう。

こういう道具はちゃんと壊れてくれないと買い直すのはむずかしいです。


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買い物の途中、小公園でちょっとひと息。

前菜は、りんごとはちみつ、トマトサラダ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、グリーンサラダ
今宵はユダヤ教の新年、リンゴとはちみつで、とろーりとけてる甘(うま)き一年になるよう祝います。ユダヤ暦5777年だそうです。


立ち呑み日記・ギターケース [困った!]

「フランス人のテキトーさ加減といったらいやはや」
と、自分もフランス人ながら、うちの11歳のムスコのギターの先生でもある友人のあきれかえるまいことか。

友人の目の前には、バカンスにムスコの初心者用クラシックギターを携行するのに、オカーサン(ワタシです)が楽器量販店の店員さんにすすめられるまま買った、ハードタイプのギターケースがあります。

「これはフォークギター、それもより大きなアメリカンフォーク用じゃないかッ」

クラシックギター用ケースを切らしていたなら店員さんはそうちゃんと告げるべきだったし、そうでなければただのギター無知の給料泥棒かッ、と、友人はあきれかえります。

ほんのちょっと大きいようだな、
と、店員さんはムスコのと同じヤマハの初心者用クラシックギターを容(い)れてみながら独りごちていたのをワタシも耳にはさみました。

ギターに疎いワタシといえば、ケースにクラシック用やフォーク用があるとはついぞ知りませんでした。

「隙間にTシャツ詰めたらどうかしら」
と、バカンスの荷物の多いところでこちらもふとつぶやいたら、店員さんは大いに奨励してくれたんです。

「靴を買う場合を考えてごらんよ」
と、友人はため息ひとつついてから声が裏返りました。

「自分のサイズがMとして、Mを切らしているからとXLを平然と押し付けてくるのって、どうよ」

靴に足を合わせろと言われたら、マ、鼻白み、当然ながらお財布開かないでしょうナ。ギターケースとて同じことと言います。

心優しい友人は、このギターケースを押し付けた楽器量販店へ、交換についてきてくれることになりました。

クラシックギター用ストックが切れているというならバカンスの間ぐらい自分の古いのを貸してあげるからちゃんと返金してもらえと強くすすめます。

大きなギターケース抱え、対価奪還への鼻息荒く店へと乗りこみましたが、実にあっけなく、かつにこやかに事が運びました。

領収書に打ちこまれた品番が、そもそもクラシックギター用ケースになっていたんです。

「最後のひとつでしたよ」
と、地下倉庫から商品抱えて駆け上って来た、先日とは異なる店員さん。

念のためムスコのギターと同じものを容(い)れて確認したい、と、たのむと、友人は天井からずらりとぶらさがったあまたあるギターの中から瞬時に見分け、
「これだよ」
と指さすんですから、プロの目とはスゴいものです。

帰りの地下鉄ホームで、ワタシが提げたギターケースの何倍も大きなコントラバスをケースで引いている青年と行き会いました。

近くに国立音楽学校があるんですヨ。

友人は手ぶらなのに、ミュージシャンどうしって同じニオイがするんでしょうネ、二人は微笑み合いました。青年はコントラバスを初めて5年、ジャズ専攻だそうな。

二人のミュージシャンは連絡先の交換をしたようでした。

さて、ギターケースを提げて家に戻ってみれば、バカムスコは夏休みをいいことにパソコンゲームに没頭中。

「映画じゃ機関銃が入ってるやつだ」
と、オカーサン(ワタシです)の手のものをチラと見て言いました。

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バカンスにたつ前日、所用あってパッシーというお屋敷街に行きました。

前菜は、ニンジン千切りサラダ、ハム、ミックスベジタブルのマヨ和え
主菜は、ブッフブルギニヨン(牛肉赤ワイン煮)、グリンピースご飯、蒸したカリフラワーとブロッコリー



立ち呑み日記・セーヌ大洪水 [困った!]

日本でも報道があったようですが、パリのあるイル・ド・フランスはじめフランス全土に雨が続き、洪水が起こっています。

なかでもロワール河やセーヌ河支流マルヌ川などは、地区一帯に車の屋根まで届くほどの水。

パリ市内を横切るセーヌ河もまた、エッフェル塔を見はるかすお屋敷街がある河岸沿いで地下カーヴに浸水する被害が出ました。

すわルーヴル美術館も犠牲に?!
という報道もありましたが、すんでのところで水位上昇は止まりました。

「橋下の目前まで水が来てるってのも妙な感じだねえ」
と、今朝買い物に出たらどこへ行ってもこの話題で持ちきりでしたヨ。

誰もが雨の中を物見高く橋までわざわざ出かけて行きスマホかざしたもよう(ワタシもです)。水位よ下がれ、と、念じながらも、スゴい光景もとめて橋から橋へついさまよっちゃうんですね。

先生に引率された幼稚園児の集団さえ見かけました。

「ほらあそこ見てごらんなさい」
と、先生が指さす橋げたの手前の石壁には横線が刻まれ、
1910
の、文字。

1910年に、セーヌ河は歴史に残る大氾濫となり、メトロのサン・ラザール駅が水没してパリ一帯は湖のごとくになりました。

アルマ橋という橋の橋脚に兵士の彫像があり、パリっ子はセーヌ河の水位上昇を、この兵士の「足元まで来た」「膝が沈んだ」というふうに表現するんですが、1910年には肩までずっぽり・・

・・テナことを、ワタシがパリに住み出した1980年代後半には、自分の目で見たがごとく得々と語るオジサンオバサンがいたものです。

そういや最近全然耳にしてなかったナ・・
と思ったら、このありさま。

今回は、この兵士の股下まで来ました。

もっともアルマ橋は自動車量が増えた1970年に幅広のものに建て替えられ、このとき兵士の像も移動したので実のところ当時との比較にはならないんですが。

1910年は水位8.2メートル上昇、今回は6.5メートル、だそう。

肉屋で仕入れたハナシによると、1910年の後、パリ郊外に小さなダムのような水流調節する箇所を作り、パリ市内の河岸も2メートル高く工事したそうです。

セーヌ河は毎年3月ころ水位が増し、河沿いの自動車道が水につかって数日通行止めになるのが恒例です。

でも6月でここまではめずらしいです。6月のパリといったら一年でもっともすがすがしい季節なのに。

ただ今3学期の終盤で、11歳のムスコのクラスも年度末遠足でサン・ジェルマン・アン・レイという郊外通勤電車の終点駅にある国立考古学博物館にお弁当持って出かけることになりました。

この博物館は、王家の城にナポレオン3世が創設した由緒正しき博物館で、隣接して緑豊かな公園が広がっています。

この公園の芝生でお弁当を食べ、ゆっくり遊んでからパリに戻ってくる予定で、新学期以来のおたのしみでした。

ところがあいにくの雨。一行はそそくさと帰路につき、お弁当は混んだ電車の中で立ったまま食べることに。

博物館見学のほうも、案内人の解説がちっともおもしろくなくて眠気を誘うばかりだったそうで、
「それもこれも全部雨のせいだ、セーヌ河のせいだッ」
と、ムスコは今回の洪水を目のカタキにしております。


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映画「ポン・ヌフの恋人たち」の舞台となったポン・ヌフ(橋)から河にせり出した公園も完全水没(木立の見えるところです)。この光景を眺めようと河岸も橋の上もなかなかの人出でした。

前菜は、鶏出汁野菜ポタージュ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト(いずれも昨日の残り)、いんげん塩茹で、グリーンサラダ

立ち呑み日記・かぶせ歯 [困った!]

「歯科技工士さんに直接歯を見せてください」
と、歯医者さんにおねがいされ、歯科技工士さんの自宅兼アトリエへ出向くこととなりました。

前歯の一本に、セラミックをかぶせることになったんです。

今回の歯と対称の位置にある歯もかぶせ歯ですが、よくできていて自前と見分けがつかないくらいです。

今回は、治療台で鏡を手渡され、
(うーむ・・)と、なりました。

一本だけ、
かぶせましたーッ、
というごとく、あからさまに色が違う。

「こ、こんなのいやですッ」
と、色めきたつまでもなく、四十代美女の歯科医師先生は美しい眉をピクリとさせ、
「彩色させ直します」

この先生が手際よく作った仮歯は左右の歯となじんだ自然な色合いで、かぶせ歯とはわからないほど。このままでいいとさえ思いました。

「それは無理なの、仮の歯は長きにわたってはもちません」

先生はスマホをワタシの口すれすれに近づけ写真までとり、修正しとなりました。で、その修正ができ上がって来たんですが・・

やはり色が違う。

歯科医先生は眉間に大いにシワをよせ、
「ダメだわ、一からやり直してもらう」

昨今の歯医者さんは虫歯の治療のみならず、審美に大いに重きを置いているものだそうです。

先生の父君も歯科医師で、ワタシはもともと父君の患者でしたが、大(おお)先生のあぶらがのっていた1970~80年代は、
「インプラントを大いに奨励したものだよ」、
二代目である娘の時代となった今は、
「なんといってもホワイトニングだね」
とのことです。

さて、三度目の正直、こんどこそガハハと笑っても悪目立ちしない口元になれると喜び勇んで登院。

本来一回のみでお役御免となる仮歯を入れたり抜いたり何度も繰り返したために、当初はあんなに自然な形だったのが今は吸血鬼のキバみたいになってますからね。

でも、治療台にのるや、ふだんならすぐさまおしゃべりがはじまる先生が無口になったので、
(またしてもしっぱい)
と即座にわかりましたね。

色が、やっぱり違う。質感も違う。

そこでこの文章の冒頭に戻るわけですが、先生はその場で技工士さんに電話をかけ、製作者の前でワタシがニッカリしてしかと見せることとあいなりました。

技工士さんはパリから車で20分の閑静な住宅地にアトリエ兼住まいがあるとのことで、パリの中心地で待ち合わせ、迎えに来てくださった技工士さんの自家用車で向かいます。

技工士さんは六十がらみのレバノン人で、1970年代中ごろのレバノン戦争でフランスにやって来て医大受験に失敗し、歯科技工士への道へと方向転換したのだそうです。

アトリエは小さな庭に面したガレージを改造し、いかにも職人仕事にふさわしい、手作り感あふれる一角です。

セラミックのかぶせ歯は、彩色して専用窯で焼いて完成。

が、後日、胸ときめかせて登院するとあろうことか、ほんとうにあろうことか、またしても色が違う。質感が違う。くっきり違う(泣)。

先生がため息つきつつおっしゃるには、腕のいいベテラン技工士さんなのに半年ほど前に最新式でコンピューター制御の窯を導入して以来こうだそうで、仕方なく別の技工士さんに発注をかえ、一からやり直すこととなりました。

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こちらもようやく暖かくなってきました。

前菜は、無酵母クラッカーを砕いたパン粉のすいとん入りスープ、鯉のつみれ(缶詰) 過ぎ越しの祭というユダヤのおまつりのお節料理です。
主菜は、鴨の抱き身ソテー、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・オットの大失態 [困った!]

「ク、クレジットカードの情報打ちこんじゃったのッ?」
と、ツマ(ワタシです)の声の裏返るまいことか。

いやはや、オレオレ詐欺にしたって、この自分がだまされるワケないと思い込んでいる人こそだまされると聞きますからね。

誰だってちょっとしたスキがあるんでしょうね。

「Hello」
と、その朝、英語で電話がかかって来たんです。

インド人英語らしい訛りといい、背後でオペレーションセンター風の喧騒が聞こえることといい、明らかに外国が拠点のセールスと思いましたが、オットの姓名を言うので取り次いだんです。

「間に合ってます」
と、オットが電話を切ればいいだけのことですからね。

そしたらば、切るどころかオットはこれにみごとひっかかっちゃった。

「マイクロソフト社、マイケル・ジョンソンと申します」
と、訛りのない、品のいい声で告げたそうな。

ワタシが取り次いでいる間に選手交替したんですね。

「弊社製品のセキュリティー期間が過ぎてしまい、お使いのパソコンがハッキングの可能性にさらされてしまいました」

これから申し上げる操作を今すぐなさってください、
とのこと。

「パパがここまで間抜けとはね」
と、ムスメというのは父親に向かって残酷なまでの正論を吐きますナ。
「マイクロソフト社から直接電話がかかってくるワケないじゃん」

「いいからちょっと黙ってて」
と、ムスメをいなしてオットに聞くところによると、マイケル・ジョンソン氏から再びインドなまりの「専門家」にしゃべり手がうつり、言われるままに打ちこんだそうな。

なぜ言われるままにやっちゃったか、
「考える間がなかったとしか言いようがない」

最終的に150ユーロ(約18000円)を、クレジットカートで決済しようとしたというんです。

ところが幸い、フランスの銀行はインターネットでカード支払いする時には携帯電話のショートメールに銀行からその場に送られて来るコード番号を打ちこまない限り決済できないしくみになっているんですが、オットは携帯電話を持たないのでできなかったんですね。

「今から銀行へ行って問題解決してきます」
と、ご丁寧にも電話口の相手に状況を説明していったん受話器を置いたところで、ハッとわれに返った。

おっとりがたなで銀行へ走り、150ユーロ決済するのではなく、クレジットカードを止めました。

急ぎ帰って来て、今やってしまったことをアンインストールしようとパソコンを開けたら、あろうことかブロックされて手が付けられず、あれよという間にパソコンは暗転しうんともすんともいわなくなりました。

遠隔操作でパソコンを乗っ取るとメールアドレスの設定を勝手に換え、ウィルスを送りこむのだそうです。

メモリーカードに入れてないここ一か月の仕事がおじゃんだ、と、大いに嘆くなり怒るなりするかというとさにあらず、こういうときって雲の中でも歩くようにフワフワーっとなるものなんですネ。

呆然自失のオットの腕をつかんで新品のパソコンを買いに連れ出し、同時にうんともすんとものほうを修復に出しました。

幸い、素敵な新品がやってきて、修復もうまくいきました。

残るは、メールアドレスの奪還です。

いやはやなんとも。


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晴れたー! と、ウキウキ写真とった矢先の大事件でした。

前菜は、カボチャのポタージュ
主菜は、タラそぎ身ムニエル、じゃがいもソテー、ミニマカロニのカレー和え(残り物)、いんげん塩茹で

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