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立ち呑み日記・夜はおすまし [前菜]

好きな味噌汁の実は? というアンケート記事を、身を乗り出して読みました。

1位豆腐 2位わかめ 3位ネギ 4位油揚げ 5位きのこ
だそうで、他にも玉ネギ、大根、かぼちゃ、かぶなどが挙げられていましした。

どうです、どれもこれも
(わかるなあ・・)
と、しみじみしませんか。

ワタシなどこないだ友人におしえてもらって半信半疑でトマトを入れてみたらこれがまあ、軽い酸味とあいまってことのほかヨロシかったです。それに、夏の菜ですが、茗荷とすいとんがワタシ、大、大、大好き。

で、この記事をじーと見つめるうちに思ったんですが・・

おすましは、みなさまのところでどうなっているのか。

いえね、この年末年始に一時帰省している時に、80歳過ぎの老父が晩ごはんにお椀ものを所望しながら言い出したんです。

「昔は、夜はおすましだったもンだ、おみおつけは、朝だけ」

・・・・そういや、そういや、そうだったなあ、と、遠―い昔の食事風景がよみがえりましたね。

確かに夜は、おすましでした。ワタシがうーんと幼いころ、キャベツと卵とじのおすましなんかだと、うれしかったもンです。

「薄切りチクワのおすましもよかったナ」
とは、東京育ちの老父。

しかし、いつのころからか味噌汁が夜も食卓に上るようになった。

エート昭和49年になるのか、小学生のとき房総半島の古い旅館へ海浜学校に行ったんですが、この時の三度のお食事がまさに、どんぶりめしに朝味噌汁、夜おすましでした。

が、我が家ではこのころにはもうとっくの昔に夜味噌汁になっていた。

朝がパンとコーヒーになったころにそうなった気がします。昭和40年代初頭です。おそらく同じころに、多くのワタシらの親世代が古くからのこの習慣を捨てたのでありましょう。

「義父が味噌汁は朝だけで夜はおすましと言い張るんですけど、そんな決めつけ聞いたことありますゥ?」
というような質問を、読売オンラインの大手小町で見つけましたが、
「うちもそうでしたよ」
という方の多くが、
「でももう30年以上も前のことです」
と、お答えでした。

味噌汁は歴史的に今日のインスタント食品のような略式の簡便食で、出汁を丁寧にとるおすましのほうがご馳走なので正餐である晩ごはんにはおすましをつけたものだそうです。

今や、そのご馳走のはずのおすましは味噌汁に完全におされてしまっているのではないでしょうか。

だって、考えてみてくださいヨ、
「好きなおすましの実は?」
という質問に、いくつ答えられます?

オクラと豆腐,蕗(ふき)とこごみ、ズッキーニとわかめ等々、クックパッドには満載で、どれもみんなおいしそうですが、味噌汁の「豆腐」や「わかめ」のような、誰もがナットクの定番テのがないではないですか。

かつてはそれが玉子とじであり、チクワの薄切りであったわけでしょうが、途絶えてしまった。

味噌汁とおすましはかつては日常の双璧だったのに、いやむしろおすましのほうが位もギャラも上だったのに、カレーライスとハヤシライスに同じく、一方が売れ一方が沈んだ漫才師のごとき差がついてしまった。

おすましが再浮上する時代は、やって来るんでしようか。


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春はまだまだだなあ・・と、つめたい小雨の降る朝上方を見上げてパチリ。

前菜は、カボチャポタージュ
主菜は、仔羊腿肉ソテー、ハッセルバックポテト(じゃがいもの底一枚まで千切りに包丁を入れた半生ポテトチップ風オーブン焼き)、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・レバーペースト [前菜]

スーパーの精肉売り場を通りかかったら、パック入り鶏レバーと「目が合った」。

すると流れるようにカゴにとってました。ふだん肉類はなじみの肉屋で買うので、スーパーでは通路を通りがかりに「鑑賞」するのみなんです。

が、本日は「浮気」に走りました。

なぜ、というのは闇の中です。ただ今こちらはイースターの時期で、うちはオトーサン(ワタシのオットです)がユダヤ人なので、行事のものを準備しなくちゃという頭があった、ということだけは、言えます。

ユダヤのイースターは「過ぎ越しの祭」といって期間中パンではなく無酵母クラッカーを食べ、出身地域のお節料理をまた食べます。

オットの家系は何世代にもわたってドイツとフランスの国境あたりで、ポーランドなどのどっぷり中欧ではなく
「おフランスざんすッ」
と、わが出自を主張するところがなきにしもあらずなんですが、極東出身の非ユダヤ人ツマ(ワタシです)からすれば、
「中欧料理でいいんじゃないかしら」

ちなみに大別するとほかに北アフリカ・スペイン系料理があり、こちらはスパイスをふんだんに使ったソラマメのスープなど食べるそうです。

ポーランド出身のユダヤ人などはかたゆで卵をうっすらの塩水に浸して食べるところから始まり(フランス在はこれを省略するそうです)、冷製鯉(こい)のつみれや玉ネギとゆで卵の合わせみじん切lり、などが前菜のご馳走に並びます。

この時、レバーペーストもあるんですヨ。

フランス料理のレバーペーストは豚脂やバターを練りこんでコクを加えますが、ユダヤ料理では代わりに刻んだ玉ネギとゆで卵をたーっぷり加えます。

ワタシ、これ大好き。

あんがいあっさりしていて、お皿にどすんととっても無酵母クラッカーを台にしてかるがる食べられます。赤ワインのおともにぴったり。

ただし、うちはオットもワルガキ二匹もレバーを好まない、どころか顔しかめて「しっしっ」と不当なほどに遠ざけるので、「過ぎ越しの祭」のお招きをうけたときにそのお宅で、ワタシだけがホクホクといただいてきました。

今回もまた、ワタシのため、だけに、イソイソ台所に立ちます。

レバーはくさみ抜きに水に浸けたりとやるべきことがいろいろありましょうが手間がかかるのでパス。代わりにつぶしニンニクを入れることにします。

ジャーッと炒めたら右から左へフードカッターに入れてゆで卵と玉ネギ、つぶしニンニクも落として、ガーッ。

これで出来上がり。

作りながら、石井好子のエッセイ『パリの空の下オムレツのかおりは流れる』に「ステルン卵」という、このレバーペーストの応用が紹介されていたのを思い出しました。

ともにリサイタルに立ってきたユダヤ人ピアニスト、ステルン氏の得意料理で、水平に切ったゆで卵の卵黄のみを使ってレバーとたたき出来上がったペーストを卵黄の穴にこんもり盛り付ける。

どうです、見た目も素敵な前菜ではないですか。

次回ぜひやってみたいと思うものの家族の誰も食べてくれないんじゃどうしたもんかナ、でも食べてみたいナ、と、うち悩みながら、わが出来上がりを赤ワインでぱくぱくいきました。


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「秘密の花園」というような小公園発見。マレー地区というオシャレな界隈の建物の奥まったところに昨年できたばっかりだそうです。

前菜は、トマトとオイルサーディンのサラダ
主菜は、ビーフフランクフルト、チンした酢がらめ千切りキャベツ(シュークルートを買いそびれまして)、じゃがいもソテー(の残り)

立ち呑み日記・ワンタンの皮 [前菜]

カレーが鍋に少し残ったのでカレーサモサをつくりました。

サモサといってもワンタンの皮で代用です。近所のアジア食材店に行けば在仏中国人がパリ近郊で作っているそれを気軽に買えるんですヨ。50枚ぐらいも入っていて1ユーロ50(約220円)。

餃子のカワは置いてません。日本食材店へ行けば日本製の冷凍モノがある、の、かも、しれない。

日本の餃子のカワって日本仕様に出来てるんですってネ。焼き餃子用に特化していて、油をひいた鉄板で表面がカリッとなるように生地が練ってあるのだそうです。

本場中国は水餃子が主、皮はもう少し厚く、しかも各家庭で打ちます。

ワンタンの皮は本場も日本もスープに泳がせることを前提に練られ、かんすいが混ぜてあるので茹でると生地がツルンとしなやかになってラーメンの麺に似た風味が出ます。

中国人の知り合いにおしえてもらったところによると、ワンタンには正調の包み方があり、具を中央やや下方の真ん中に置いて筒状にくるみ、両耳の一部のみ前方で合わせるようにしてくっつけるのだそう。

こうすることで皮の幾か所かがポケット状になりスープがよくからむ、とまあそういう算段だそうです。

さて、こちらはフライパンで揚げ焼きにしたカレーサモサのおかげで鍋のカレーはすっかりはけましたが、かわりにワンタンの皮が残りました。

これが毎度悩みのタネなんですよねえ・・

ンなの普通にワンタンスープにするなり食べ方なんていくらでもあるでしょうが、と、思われるでしょうが(ワタシとて思います)、これがなかなか難儀なんです。

カレーサモサの翌日もサモサやら餃子やらだと
「えーまたー」
と、どうしてもうんざり感がつきまとうんですね。

そこで形をかえてラザニアにもしますが、それとて前回ワンタンの皮が残ったときに食べたところ。

仕方ない、とりあえず冷蔵庫で保留にして明日以降に持ち越そう・・・と、三、四日あっという間にたつうちに、あろうことかカビがポツポツ生えてくるんです。

悔恨、いかばかりか。涙をのんで捨てたこと、これまでに何度もありました。

そうなる前に一刻も早く食べ切らねばと焦るんですが、さてどうしたらいいものやら。揚げてスナックにする、スープで茹でて麺として食べる、などなど、アイデアならいッくらでもあります。

が、いずれもワンタンの皮の形状から
「えーまたー」の声。

「このテのついこないだ食べたばっかりじゃないのー」
という非難の温床になってくるんですね。

このジレンマを、世のみなみなさまはどう克服なさっているのか。

Yahoo知恵袋などをひもといても、レシピのアイデアはずららららっと上がっているものの、肝心の、似たようなおかずが続いたら飽きるという点に関して言及している返答はひとッつも見つかりませんでした。

悩みに悩み、残った皮で今度はツナとさいの目ズッキーニのマヨ和えを具にしたサモサにすることにしました。といいますか、冷蔵庫の残りものの都合上しぜーんとそうなった。

「えーまたー」に対しては、
「こないだはこないだ、今日は今日ッ」
でつっぱねるという方法でいくこととなります。


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いよいよ半そでを出しました。

前菜は、メロン
主菜は、牛挽き肉ステーキ、タリアテッラ(平麺パスタ)のトマトソース、カリフラワー塩茹で


立ち呑み日記・コールラビ [前菜]

コールラビ、という野菜を初めて買ってみました。

みなさんご存知ですか? 薄緑色のカブみたいで、わき腹あたりからも細い茎が生えている野菜。

ずいぶん昔になりますが、1970年代後半、キューピーマヨネーズだったかの広告で、この野菜を見たことがありました。

ヘンテコな形で存在感あるなあ・・と、思いながら、その名も知らぬまま40年近くが過ぎてしまいました。それがここのところ、近所の八百屋にゴロリンとあるんですヨ。

二、三年前まではついぞ見かけませんでした。

外国産なんだろうなあ、と、遠巻きに眺めていたところ、本日ついに
「目が合った」。

おそるおそる手にとり八百屋のマダムに訊ねたところ、初めてその名を知りました。

シューラーヴ(コールラビ)、直訳すると「キャベツ蕪(かぶ)」、キャベツ同様アブラナ科で、根本が蕪のようにふくらむからだそうです。

蕪(かぶ)のようですがもっとうんと甘みがあり、生はさくさく歯ごたえよく、火を通すとよりねっとり甘くなっておもに付け合せのピューレにするものである、と、おしえてくれました。

お値段も、めずらしい野菜なのにちっとも高くなく、野菜で一番安い部類の蕪とそう変わらないくらいです。

日本の大手会社の広告塔にまでのぼりつめた大スターが、こんなにも気さくに目の前にいるなんて。大感激でお財布を開きました。

ドイツでは昔からよく食べられている野菜だそうです。茹でてクリームと和えたりして、やはりつけ合わせにするもよう。

「フランスじゃ『リバイバル野菜』よ、これ」
と、八百屋のマダム。

戦時中の食糧難に栽培が簡単だったおかげでこればっかり食べることとなり、経済が上向きになったころから、
「もう見るのもイヤ」
と、そっぽを向かれ、市場から完全に消えてしまった。それが21世紀も十年以上が過ぎた今日、目新しいしゃれた野菜として復活。

そういう先輩格野菜に「キクイモ」があります。

パッションフルーツなどと肩を並べて八百屋のエキゾチックコーナーにしゃなりと鎮座しているんですが、戦中戦後を経験した世代はやはりどうあっても敬遠のようです。

コールラビ、どうやって食べましょうか。

以前、蕪と青リンゴの薄切りにかつお節をまぶした箸休めをお料理の先生をやっている幼なじみからおしえてもらい、これが爽やかでとおってもヨロシかったので、応用して前菜にしてみましょう。

なんといっても初体験ですから生でかぶりつきたいです。

コールラビは日本でも生産されてるんですってネ。宮崎県の清武という町が生産に力を入れていて、「きよちゃん大王」という名称で出荷販売されているそうです。

結論から先に申しますと、コールラビの甘みとさくさく感が青リンゴの酸味と食感に絶妙なバランスで大成功、と、いいたいところでした。

が、家族全員からソッポ向かれた(涙)。

「なにも戦時中の追体験をしなくても」
と、オトーサン(ワタシのオットです)。それって先入観ありすぎ(と思う)。

食べればあんなにおいしいんですがねえ・・


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これですこれです。なかなか風格あるでしょ?

前菜は、アボカドとグレープフルーツのサラダ
主菜は、トマトの肉詰め、ねじりマカロニ、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・パプリカ [前菜]

日曜のお昼、窓を開けたら、どこかの家でパプリカを焼いている香りが漂ってきました。焼きがすすんで、黒く焦げている箇所がそろそろできて来たところ・・テナ香り。

いいナ。焦げ具合もいいところでオリーブオイルをたらたらしたら、冷たい白ワインがすすんじゃうナ。

パリのマルシェでも、赤・オレンジ・緑の色も鮮やかに肉厚のところが売っています。これを買って来てざくざく切り、オーブンで素焼きにする。イタリア食材店でも、焼いたなりにオリーブオイルをかけたおかずをよく見かけます。

地中海沿岸では必要不可欠の野菜なんでしょうネ。

南仏料理のラタトゥウイユに絶対入ってますし、バスク地方のピペラードという、トマトと唐辛子といっしょにずくずくに炒めた料理にも入ってます。

ピペラードは卵でとじるとこれがまたヨロシイんですヨ。プロヴァンスのロゼワインがぱかぱかすすんじゃう味。

チュニジア人の友人のところに招待を受けた折、パプリカのペーストをご馳走になったことがありました。

これが、とおっても、とおっても、美味しかった。

パフリカ、トマト、ニンニクをオーブンでじっくり焼き、ずくずくになったところをフォークでつぶしながらオリーブ油とまぜる。

ピペラードと似ているんですが、クミンやらいかにも北アフリカっぽい香辛料もきいているんです。薄切りパンにつけて食べたらとまらなくなりました。

そういう感じにパプリカといったら、南! 太陽! バカンス! とこう打てば響くまでになっているんですが、北のハンガリーもまた切っても切れない縁があるんですよネ。こちらは野菜としてというより赤い粉末に加工して、ハンガリー料理に欠かせない調味料。

日本のパプリカは、ハンガリー原産だそうです。

そうそう、以前はパプリカのことは赤ピーマンで、パプリカをパプリカと呼びましたよネ(ややこしいけどわかるかナ)。パプリカといったら、赤い粉末スパイス。

この時代のものだと思うんですけど、フェイスブックで回ってきた、小学校低学年の国語テストなんですが・・

絵のやさいをカタカナで書きましょう。
□□□□(ひとマスにカタカナ一字)

パフリカ、と書かれているのに大きくバツがつけられ、ピーマン、と、直されているんです。

先生ったらパプリカ知らないの? と、憤慨したくなりますが、以前は粉末スパイスのパプリカが赤ピーマンとはそう知られていなかったのではないでしょうか。

赤ピーマンと黄ピーマンはいいとして緑ピーマンでは普通のピーマンと区別がつかないから(?)、日本ではピーマンとパプリカの二者別物として呼ばれることとなりました。

パフリカにはピーマン独特の苦みがなくむしろ甘いのでピーマン嫌いの子どもに受け入れられたようです。

が、うちのワルガキ二匹およびそのオトーサン(ワタシのオットです)はパフリカを嫌う。徹底的に、嫌う。なんとなれば、「うすら甘い。ヘンなにおい」。

ワタシは好きなのでいろいろな料理に入れますが、かなッらず、皿に残されます。やれやれ。


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本日の前菜。写真があれですが、バターをつけて辛味を抑えて食べます。

前菜は、ラディッシュ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、モロッコいんげん塩茹で、グリーンサラダ

立ち呑み日記・ディップ [前菜]

長期出張に出る食通の親戚から譲り受けたペースト各種に野菜スティックをつっこみながら、つらつら考えた。

こういう「つけ食べ」って、ワタシらが子どものころは無かったナ。

ただ今目の前にあるペーストは地中海風で、フムスというヒヨコマメのペーストとタラマというタラコクリームのペースト、それに食通ご自慢の、雲丹(うに)入りタラマ。

これらを、ピタパンという薄いパンになすりつけて食べるのが本式ですが、食通の発案で、スティック野菜でいくことにしました。軽やかで、どんどん手が伸びます。

今でこそ当たり前ですが、こういう食べ方ってワタシが子どものころは思いもよりませんでした。

お箸一辺倒のなかで手づかみのスナックは食卓に上りにくかったのではないでしょうか。もろきゅうだってきゅうりをじかに掴(つか)んだりは、しません。

「『ディップ』って言う食べ方よ」
と、初めて聞いたのは、中学のとき。

帰国子女の転校生がおしえてくれました。

アメリカで友だちどうしのホームパーティーというときまって大きいボールにサワークリームみたいなのがデンとでて、トルティーヤっていうとんがりコーンに似たスナック菓子ですくって食べるの。

「おいしいの?」と聞けば、
「うん、食べ物はたいていこれしか出ないし」

つまむと喉が渇くのでコーク(と発音してました)を飲み、ディスコ風に飾りつけしたリビングでLPレコードをかけて踊り、チークタイムもある・・・というハナシを、別世界のこととして聞きました。

実物を食べたのは、もっとずっと後、語学留学でパリに来てからです。

クラスメートの部屋で持ち寄りパーティーがあり、やはりアメリカ人の子が作って持ってきた。

トルティーヤやら生のカリフラワーやらですくって口に運ぶとこれがまあ、あとひく美味しさ。作り方おしえて、と、カタコトのフランス語でたずねると、先方もカタコトで、わかりやすくおしえてくれました。

同レベルのカタコトどうしだと、不思議と明快に通じ合うものなんですヨ。

作り方はカンタン、サワークリームにクノールなどの粉末オニオンスープを一袋混ぜる。以上。カリフォルニア風本格レシピではナントカいうメーカーのオニオンスープの粉末で作ることになっているそうですが、フランスで買えるもので代用し、サワークリームもフロマージュブランというクリームチーズを使った、とのことでした。

このとき以来、ワタシもホームパーティーというときまってこれをビュッフェに加えるようになりました。(フランスはアメリカと違って学生のパーティーでも食べものはふんだんに出ます)

ワカモーレ、というのも、そういえばいっしょに習いました。アボカドとトマトとニンニクとサワークリームなどをつぶし混ぜた緑鮮やかなディップ。

アボカドの種をのせておくと色が変わらない、という裏ワザも知りました。

ディップを口に運び、安ワインを紙コップであけ、カタコトで語り合い、大いに笑い、カセットデッキで当代流行中の音楽をかけきゃあきゃあ踊ること地下鉄の始発まで。

チークタイムもあった、ような、気がします。


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テラス席の食前酒、うらやましいナ。

前菜は、乾燥エシャロットをまぶした赤かぶサラダ
主菜は、舌平目塩焼き、じゃがいもピューレ、

立ち呑み日記・どてかぼちゃ [前菜]

かぼちゃのスープを煮込みながらつらつら考えた。

唐茄子、って言ったナ、昔、かぼちゃのこと。

ワタシが4歳まで生きていた同居の祖母は、唐茄子が大好物でした。こっくりと濃い味つけで煮て、煮崩れたところがお正月のきんとんみたいになる、唐茄子。

唐茄子イコール甘辛煮で、マヨ和えサラダだの洋風料理になるとは思いもよりませんでした。

祖母は初孫(ワタシです)のために広告の裏へ絵を描いてくれるんですが、松と帆掛け船、なんていうのといっしょに、ごつごつした唐茄子も一つ覚えのごとく描いてくれたもンです。

ヘタつきの細長いひょうたんみたいなのをまず描き、その左右に同じような細長いのをくっつけていってごつごつした形にふくらませていきます。

「仲良きことは美しき哉」
の色紙にある、まさにあんな感じ。

武者小路実篤の色紙や絵皿って、昭和の時代は食べ物屋だの友だちや親戚の家の茶の間だのでしょっちゅう見かけたもので、うちにもご飯茶碗がありました。

そういえばあれ最近とんと見かけなくなりましたネ。

見かけないといえば、昭和の時代、誰かをののしるときに
「このどてかぼちゃッ」
なんて言ったものですが、これなどももはや死語ではないでしょうか。

どてかぼちゃッ、の時代のかぼちゃと今のかぼちゃとは違うものだそうです。

祖母が好んだ唐茄子は、白樺派の文豪がさかんに描いておられた時代は一般的でしたが、今日では別の品種に完全にとってかわられているそう。

今のかぼちゃはごつごつしてませんよネ。

唐茄子は甘み少なくねっちりして、醤油と味醂で濃く煮つけると味がよくしみこんだようですが、今のかぼちゃは糖度か高いため薄味で十分、かつほっくり仕上がるものだそうです。

と、いうことは、幼い日に祖母と食べた、あの唐茄子の煮つけの味には二度と出会えない。

パリでもアジア食材店に行けば、煮つけにぴったりのかぼちゃが売ってるんですヨ。唐茄子でなく、今の日本のかぼちゃ。

「このためにわざわざバスでここまで買いに来たのよ」
と、そのレジで前に並んでいたマダムが大きいところを胸に抱えて、おっしゃってました。

バカンス先のイタリアで味をおぼえたのだそうですが、あちらでは一般的な野菜で、つけ合わせによく食べられているのだそう。

隣国フランスではまったく普及してません。

フランスのかぼちゃは、今、スープに煮込んでいるオレンジ色のもののみ。ホラ、ハロウィーンの飾りにするあれです。火を通すと水っぽくずくずく崩れるので、煮つけには不向き。

そこでスープ一辺倒ですが、作り方はカンタンです。

鍋に焦げつかないよううっすら水を張ったところへカワを剥いて適当に切った実をどんどん入れて蒸し、ずくずくに崩れてきたらバターちょんちょん、場合によっては砂糖少々も足し、牛乳でのばしてミキサーでガーッと粉砕。以上。

玉ネギやニンジンを加えるレシピもあるようですが、経験から言ってそういうものを加えると野菜スープに近づいていまひとつかぼちゃの影か薄くなるので、ここは単独でいったほうがいいみたいです。


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本日も秋晴れ。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、牛挽き肉ステーキ、ブランダード(鱈とじゃがいものニンニク風味ピューレ)、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・輪切りが一番 [前菜]

アジア食材店のあるほうへ信号を渡っていると、店頭ワゴンにむっちり太い大根が一本だけ売れ残っているのが見えました。

コレワコレワ、と、磁石のごとく吸いつけられます。

「大根は輪切りが一番うまいんだよッ」
と、どうしたわけか天から聞こえる水前寺清子のお声。

東海林さだおのエッセイ『ショージくん・・』シリーズの1970年代後半から1980年代初頭に書かれたそれに、水前寺清子リサイタルに行くの巻が、あったんです。

演歌歌手のリサイタルは、第一部が股旅物などの時代劇、第二部が歌謡ショーという構成。

第一部の人情時代劇で、三度笠の水前寺清子が貧乏長屋のめんめんに先のセリフを決めると、客席の高齢者からどっと大爆笑が巻き起こったそうな。

この場面、今だったら爆笑どころか
「やっぱり野菜はオルガニックものね」
と、客席で共感して静かにウンウンうなずき合うことでしょう。

それに去年など、生大根ダイエットなるものが流行ったみたいです。生の大根を毎日6センチ食べるだけ、というダイエット法。

大根の消化酵素は火を通すとなくなってしまうため必ず生、それも大根おろしだとより効果的で、肥満をひきおこす物質を体外に排出してくれるのだそう。

でもそれだけで痩せられるというならワタシなんてとっくの昔にスッレンダーのナイスバッディ―になってますぞ。

寒風がたってくるとこちらの八百屋にカワの真っ黒い大根が並び始めます。このカワをむき輪切りにして前菜にすると、たいへんヨロシイんです。

日本のみずみずしい大根と異なり、目がつんでごりごりしているところへ塩をぱらっとふって噛み砕く。すると、ところによっては心臓がバクバクするほど辛いんですね。

この辛みを抑えるのに、バターを塗ります。

ひとによっては、バゲットの一片にバターをたーっぷり塗ったとこころへ輪切りをのせてかぶりつくんですが、これがまたこっくりした赤ワインによく合うんですヨ。大根6センチなんてたちまちお腹の中です・・

・・おっと、ダイエットというならバターとワインが少々よけいだった、かも、しれませんナ。

「ところでさっきの人情時代劇でどうして大爆笑になったの?」
という声が、お若い方を中心に聞こえてきたようですが。
「大根の輪切りがなんでそんなに可笑しいの?」

『長屋の花見』という落語でも、貧乏長屋の八っつあんや熊さんが、ご馳走もないところで上野へ花見に行こうとお酒のつもりでお茶っ気、かまぼこのつもりで大根の半月切りを準備しますが、ただ切っただけの生の大根はそれほどに貧しい食べ物のイメージだったわけです。

高度成長から経済の絶頂に向かっていた当時、われらが大スター・チーターさまの口から輪切りの大根が一番などと聞くなんて・・と、戦中戦後の苦しい日々をがんばった世代は大笑いしたんですね・・

・・テナことあれこれ考えながら、信号をアジア食材店の店頭ワゴンに向かって突進していたら、ああああッ、なんということッ。

わが大根をしかと胸に抱えとり、レジに向かっているひとがいる。

すごすご、そのまままわれ右しました。


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クラシックカーの大会でもあるんでしょうか。

前菜は、ニンジン千切りサラダ
主菜は、トマト肉詰めオーブン焼き、インゲン塩茹で、スパゲッティーバジリコソース(昼の残り)

立ち呑み日記・冷たいスープ [前菜]

「暑いからガスパチョにしましょう」
ということになりました。

ただ今バカンスで、スペイン国境に近い寒村の友人宅に居候しているんですが、お昼の前菜に純正スペイン風ガスパチョを
「お目にかけましょう」とのこと。

正確には前々菜とでもいいますか、お食事のはじまりのはじまりの気つけみたいなもの。

スペインの夏は、気温が50度ぐらいまで平気で上がるので、ガスパチョをまとめてつくって冷蔵庫に常備し、朝に昼に夕に、水代わりに飲んでビタミン補給にこれつとめるのだそうです。

純正スペイン風(とフランス人の友人が言い張る)ガスパチョのつくり方は、こうです。

トマト、皮をむいたキュウリ、細長ピーマンをミキサーでガーッとやり、ニンニクとオリーブ油を別にガーッとやったのと混ぜ、お酢を加える。以上。

固くなったパンを加えてとろっとさせたり、パセリなどハーブを加えたりと各家庭や地方によっても異なるようですが、基本の基本とも言えるのが、これだそう。

アルモドバル監督『神経衰弱ぎりぎりの女たち』というスペイン映画で、別れ話となったカップルと彼氏の元カノがガスパチョをつくって飲むシーンがあり、確かミキサーにパンも入ってた記憶があるんですが、
「パンを入れる入れないは宗教が違うほど大きな違い」
と、友人。

パンを入れない派は、なにがあっても
「入れない、入ってると舌触りがごたごたしてまずい」
のだそうです。

このあたり、なんだか味噌汁のこだわりみたいですよネ。赤味噌か、白味噌か、八丁味噌か。実(み)はあっさりひと種類か、幾種類もまぜてコクを出すか。

冷や汁、というのが、地域によってはありますが、みなさんのところではいかがですか。ワタシは東京近郊の出なので、夏に慣れ親しんだ味とはいきませんでした。

おみおつけを冷して食べていいと知ったのは、テレビの「寺内貫太郎一家」で見たのが初めてです。ホラ毎回の食事のシーンで、本日の献立がテロップで流れましたよネ。

その夏の回で、冷やしおみおつけというのが、あった。

「今朝、出汁をとって冷やしたのよ」
と、加藤治子お母さんのせりふも、ちゃんと憶えてます。

しかしこれ、暑い夏の台所でどうやって冷したものなんでしょうか。

だって当時は、「霧ヶ峰」という冷房が普及はしていたものの、室温を冷すのは家族が集まる茶の間だけで、しかも終日というわけでは、ありませんでした。

よしんば出汁のあら熱がとれたとて冷蔵庫でキンキンに冷やすとなるとなかなか大ごとです。

八丈島には、鯵などの刺身をミキサーで砕いたところを氷水でがしゃがしゃ混ぜ味噌を溶いただけの、歯にしみるほど冷たい味噌汁があるそうですが。

生魚からいいダシが出て、火を通さなくとも、十分、味がいいそうです・・

・・とまあ、日本の夏の涼をなつかしく思い描きながら、ピレネー山脈を遠くに見る木陰のテーブルで、スペインの夏の涼をぐびぐびぐびっと、いただきました。


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車で買い出しに行く道すがらにパチリ。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、ラザニア、インゲン塩茹で

立ち呑み日記・クネル [前菜]

オットの誕生日なので、晩ごはんに本人よりリクエストのあった舌平目、および前菜に、クネルを浮き身にした野菜スープ、を、つくりました。

クネルとは何かといいますと、紡錘型した練り物です。

バタくさい紡錘型西洋はんぺん、とまあ、ひとことで言えばそんな感じ。小麦粉とバターと卵白を練ったものが基本形で、鶏肉だったり魚肉だったりが練り込んであります。

フランス各地に名物クネルがあるみたいですが、リヨン地方のカワカマスという、日本には生息していないそうですが、淡水魚を折りこんだのが、つとに知られています。

リヨン近郊には湖沼地帯があり、冷蔵設備の存在しない昔、ここから獲れる淡水魚をいかにして大都会リヨンで売るか、というところから考えられた料理だそう。

つまり各家庭で手作りするというよりは、かまぼこやチクワなどのように出来合いを買ってきて食べるもののようです。

「小麦粉で練り込んでみようじゃないの」
と、考えついたのは、おかず屋さんでも料理人でもなく、お菓子職人さんだったそうな。なるほど魚以外はお菓子の材料ですもんネ。

リヨンでは、日曜の午前中、鍋をもってお菓子屋へトマトソースにひたひたに浸ったクネルを買いに行くのが習慣みたいなものだったそう。

裕福なうちではこのとき、さくさくのパイケースをいっしょに買いもとめ、家で温め直したトマトソースのクネルを詰めて、日曜昼の正餐にしたようです。

「ウン、スープなんかよりトマトソースが断然いい」
と、口をそろえるワルガキ二匹。

リヨン風トマトソースのクネルは給食にもよく登場し、子どもらで嫌いなコはいない、というくらいの人気メニューだそうです。

が、オカーサン(ワタシです)は、これまでクネルを遠ざけていた。

ひと口大に切ったのを浮き身にした、さいの目野菜入りののこのスープだけは別で、大人二人のころはよく食卓にのぼりました。

子どもらができてからは、さいの目野菜を食わず嫌いされる危険から、ガーッとブレンダーで粉砕し、野菜の形が残らないスープばかり。

とろりんとしたスープにはんぺんみたいな浮き身では、なんだかこう離乳食みたいで食傷です。

そういうわけで、クネルとは久しく親交を絶っていたんですが、なぜというに、前菜にするにはこってりし過ぎ、主菜にするには、オナカイッパイになりづらい。

そもそもスーパーで買う出来合いのクネルは、カワカマスやら鶏肉やらが入ってる、ことになってますが、大部分が小麦粉です

「プレーン」という、何も入ってないのも売られているぐらいです。

ソースで煮込んだクネルは、ハンペンみたいな食感でとおってもおいしいものの、これだけではやはりオナカイッパイになりませんから、バターライスやらをつけ合わせに食べる。

すると全編にわたって炭水化物、やきそばパンみたいなことになっちゃうんです。

このモンダイを新たにつきつけられながら、でもたまにはいいかもナ、と、考えをやや改めました。


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通りがかりにパチリ。ノートルダム寺院です。

前菜は、ニンジン千切りサラダ、ガチョウのリエット
主菜は、仔羊腿肉ソテー、レンズ豆煮込み、インゲン塩茹で