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立ち呑み日記・一風堂 [ランチ]

アー美味しかったナー・・
と、何度も思い返すまいことか。

今年の春にラーメン「一風堂」がパリにもついに上陸し、店頭にのびる行列へ長らく横目をつかっていたんですが、このたび時分どきやや過ぎてふと通りがかった折に、ついに入店かなったんです。

(一風堂って「すみれSeptember Love」?)
と、ワタシなどすぐさま連想しちゃいますが、土屋昌巳とは無関係だそう。博多のラーメン屋さんで、ロンドンやニューヨークで大評判、とは、かねてより聞き及んでおりました。

胸ときめかせて店内にすべりこむと予想に違わず、「日本食慣れ」雰囲気濃厚の地元民で満席です。

ワタシが語学留学生だった1980年代後半、東京銀行の真ん前に暖簾をあげる「よっちゃん」というラーメン屋が評判でしたが、客の大半は日本人で、たまさかに見かけるフランス人はといえばどんぶりに向かうやフォークとナイフを取り上げ、ちゃっ、ちゃっ、と、麺を食べやすいよう切っていたものでした・・

・・それも今は昔、東銀も「よっちゃん」も消滅し、ことに今年はテロのあおりで日本人観光客は激減(去年の半分以下だそう)、代わってジャパンフェスティバルが年追うごとに隆盛し、日本通フランス人は日本人以上に日本文化を体得するまでになっています。

現に、ワタシの背後から続いて入って来た女性二人組など、テーブルに案内されコートを脱ぐ間も惜しんで立ったまま、
「シロマル、タマゴ、メン・カタ、アン・カエダマ」
と、流れるがごとく注文しているのでたまげました。

白丸は一風堂の正調とんこつラーメンで、タマゴのトッピングに麺固めの替え玉1(アン)、ト。

どうです、日本人ながらいまひとつラーメン慣れしてないオバサン(ワタシです)にここまでよどみなく注文できるでしょうか。

メニューを吟味に吟味を重ね、
「鶏醤油おねがいします、(麺のかたさは?)エートエート、ふつうで」
(店長らしき日本人男性が注文を取りに来てくださいました)

東京のベッドタウンで育ったワタシはラーメンといったらまず醤油味。ただ、あとで知ったところによると、一風堂はとんこつラーメンが真骨頂で、「鶏醤油」はパリ店独自のメニューなのだそうな。

宗教上豚肉を禁忌とするパリっ子は少なくないですからね。同様に、菜食主義者のことも考慮した野菜ときのこ出汁の麺もメニューにあるようでした。

待つこと数分、ついにワタシの前へ湯気モウモウのどんぶりがやって来ました!

スープをひと口フーフーしながらのむと、やさしくすっきりした醤油風味。

ラーメンの麺のかたさを選ぶとはこれまで考えたこともなかったですが、ツウはかためを選ぶものなんでしょうかネ、周囲の誰もが「カタ」と打てば響くように指定しています。

「カタ」と言ってみればよかったかナ、でもスープをはじくまでのかたさだったら困るナ・・

・・と、思いめぐらせながらズルズルやっているとたちまちに底が見えてきました。

焼き餃子もまた注文したんですが、オチョボ口のひと口サイズが6個で6ユーロ、美味しかったですが1個1ユーロ(約125円)はチト高く感じました。


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地下鉄から上りながらパチリ。

前菜は、野菜ポタージュ
主菜は、鶏ローストとじゃがいもローストの残りの赤ワイン炊き、いんげん塩茹で、グリーンサラダ



立ち呑み日記・映画マラソン [ワルガキ]

お昼、映画館の出口前で14歳のムスメを待っていると、魔法学校の生徒風に身を包んだ少年少女が、一人また一人と黒いローブひるがえして弾丸のごとく飛び出して来ます。

その感じはもう映画館でなく本物の魔法学校。

急いでいるのは、ほんの1時間の昼休みにファストフードの行列を避けるためでありましょう。

「飲食物持ち込み厳禁で、入り口の荷物検査で没収されるンだってよ」
と、ムスメも梅干しオニギリのお弁当をあきらめたぐらいです。

中で買わせようというわけね、と、鼻白みましたが、このテの映画祭では盛り上がりが過ぎての飲食物投げ合いから椅子じゅうたんが使用不能に陥るのを懸念してではないでしょうか。

ただ今、グラン・レックスという大型映画館で映画「ハリー・ポッター」全8作を2日がかりで上映する「ハリー・ポッター・マラソン」2日目で、第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』まで来たところです。

午前11時上映開始、途中昼夕1時間の食事休憩があり23時半まで、という2日間。

11時に着いても3階席のはずれしか残ってない、という情報を仕入れたムスメを半信半疑で早朝の7時(!)に映画館へおくりとどけてみれば、なんとまあ魔法使いたちの行列がすでに長く伸びていました。

8月後半に宣伝告知が出て、チケット売り出しの二日目にして完売だったそうな。

そのころは夏休みの一時帰省で日本だったのでハリー・ポッター大好きなムスメは完全に出遅れ、身をよじってくやしがりながらインターネットを駆使してチケット転売者を探していたようでした。

「詐欺にひっかかったらどうしますッ」
と、心配しましたが、幸い身元確かな譲渡主を見つけ、級友に立ち会ってもらい正価で交換してきました。

「ハリー・ポッター・マラソン」は、ふつうの映画鑑賞ではなく、画面のシーンに声を張り上げたり、ともに歌ったりして楽しみます。

「こんなに観客が騒ぐ映画鑑賞ってはじめて」
とは初日終えたムスメの感想で、かくいう当人の声もガラガラです。

悪役登場には場内ゆるがすブーイング。ラブラブシーンではひやかしの盛んなピーピー。

浅草の映画館だったか、クレイジーキャッツや若大将のシリーズのオールナイト上映で、画面とともに歌ったり踊ったりするイベントが開かれていたものでしたが。

パリでは、「ロッキー・ホラー・ショー」という映画が毎週末に同様の盛り上で知られ、今年で30周年だそうです。

こういう映画のたのしみ方もいいですよネ。

観衆の大半はハリー・ポッターとともに成長した二十代前半で、14歳のムスメは下っ端の部類、とはいえ親に連れられた小学生もいたようです。

で、なぜその昼休みにオカーサン(ワタシです)が来たかといいますと、ムスメの片目のコンタクト(使い捨て)が上映直前に
「痛くてはずしたら失くしちゃった、一生のお願い持って来て」
と、懇願されたから。

代えを持って行かないほうが悪いでしょッ、
と、電話口でオコったものの、マ、仕方ない・・

・・と、待つうちに、ホグワーツ魔法学校スリザリン寮生の(扮装した)ムスメが他の生徒に混じって出て来ました。


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晴れてうれしいなあ・・と、パチリ。でもここのところすぐ曇って雨が降ります。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、牛(フォーフィレ)ステーキ、いんげん塩茹で、残り肉とともにじゃがいものニンニン風味赤ワイン煮、グリーンサラダ




立ち呑み日記・輸入菓子 [おやつ]

「オカーサン、あれ、食べてみたかったんだ!」
と、アメリカ直輸入食料品店の前を通りがかったら、今あたかも店から出て来た青年の手元をこっそり指さす、14歳のムスメ。

青年は、その生真面目そうな風貌とはやや相容れない感じの子供向けイラストつき箱菓子をひとつ、つかんでいます。

フランスでは最近、お店で買ったものを提げるビニール袋をくれなくなりましたからね。

アメリカのスーパーならどこにでもあるようなどおってことない箱菓子ですが、フランスには入って来ていない商品です。

青年はなんでまたこれと狙って専門店までわざわざ買いに来たんだか。おやつの箱菓子なら近場のスーパーでいくらだって気軽に買えるのに。アメリカ直輸入となれば普及品の箱菓子とて値段がつり上がってしまうのは自明・・

・・と他人の買い物に首つっこむ間もなく、ムスメが店内へずんかずんか入って行ったので慌てて続きます。

ムスメはこういう外国のお菓子の存在をYoutubeで知ったらしいんですね。Youyubeには、見慣れないお菓子を食べてみて感想を言うシロウト動画のカテゴリーがあるんですヨ。

そのなかで、この箱菓子がひときわおいしそうだったそう。「Poptartsポップターツ」という名称で、フランス語読みなら「ポップタルト」。

タルトというぐらいでクッキーみたいな四角い土台にいかにも甘そうな白いクリームがべっとり塗られた写真が箱にあります。白いクリームには、これまたいかにもアメリカ風極彩色のチョコチップがパラパラパラッ。

これ、アメリカでは一般的な朝食で、給食にもひんぱんに出るのだそうな。

おねがい買っておねがい・・
と、ムスメに揉み手擦り手でかきくどかれ、仕方ない、お財布を開きました。輸入品だけあって8ユーロ(約1000円)もして、レジで少なからずの後悔がつきまといました。

さて、ムスメもまた箱むきだしで抱え、家路を急ぎます。

家に着くなり箱はいったんオカーサン(ワタシです)の手に渡り、エート・・と、目からうんと離して「食べ方」を読もうとこれつとめます。

なにしろ全面的にふだん慣れない英語。

やっとこさ2行ばかり読み進んだあたりで、待ちきれなくなったムスメがiPADをタッタカターと叩き、
「トースト、ないしは皿にとり電子レンジで3秒加熱、だってサ」

箱はずっしり持ち重みがして、中に小分け袋が四つ。そのひとつを開けるとクリームごってりの大判クラッカーみたいなのが二枚入ってました。

正直なところを申しますと、香料もあれで口に合わなそうな気配濃厚・・

とはいえそんなことはつゆとも口に出さず、電子レンジでチン。

♪イングリッシュマン・イン・ニューヨーク・・
と、英語の授業で習いたてを口ずさみながら、11歳のムスコも興味津々手を伸ばします。

・・・・・
と、モグモグしながら、いつもうるさい二匹がともにウンともスンとも言いませんでした。

(こりゃ残りはお菓子戸棚のこやしになるナ)
と、すぐさま判断がつきましたね。

ワタシとて残りを片付けるのはできれば遠慮したい。

でもなにしろ輸入菓子、高くついてますからねえ・・


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輸入菓子を買った帰り道にパチリ。まもなく日が暮れます。

前菜は、ニンジン千切りサラダ
主菜は、牛挽き肉ステーキ、じゃがいものニンニクソテー、いんげん塩茹で、グリーンサラダ


立ち呑み日記・月のうさぎ [食前酒]

ウサギをロゼワインで煮込みながら、つらつら考えた。「月のうさぎ」という合唱曲、あったナ。

合唱組曲「月と良寛」の中の一曲で、ワタシの中学高校生時代、学内コーラスコンクールというと、毎年どこかしらのクラスが歌っていたものです。

今調べてみたら、「さっちゃん」「犬のおまわりさん」「おなかのへるうた」などを作曲した大中恩(おおなかめぐみ)の1960年の作品で、昭和40~50年代によく歌われていたもよう。

歌詞は有名な仏教説話、同じ内容が今昔物語にも採集されているそうです。

むかしむかし・・
キツネとサルとウサギが、野山で楽しく暮らしておりました。

あるとき・・
お腹が空いて死にそうなおじいさんと山中で出会います。

キツネとサルとウサギは・・
おじいさんを助けるのに、それぞれ食べ物探しに出かけました。

キツネとサルは、持ち前の知恵と腕力でおじいさんを喜ばせるような食べ物をたんと提げて戻って来ます。

けれどもウサギは・・
身体も小さく力もなく、何も収穫できずしょんぼり戻って来ると焚火の前のおじいさんへ無力を詫び、せめて自分を食べてくれ、焚火に飛び込みます。

おじいさんは神様の姿にかえり・・
うさぎの優しい心を慈み、むくろとなったウサギを胸に抱き、月の世界へと旅立って行きました・・

自己犠牲を美化するとは封建的でヤなこった、
と、反抗期のワタシは歌を口ずさみながらも冷ややかに思ったものでした。

が、大人になり台所で香気あふれかえるウサギの鍋をかきまわしつつ口ずさんでみれば、この説話は必ずしも鹿爪らしい美徳のみを物語っているわけでないと気づかされるんですね。

裏メッセージが、ちゃあんとある。

すなわち、ウサギは
「食べられる(食べていい)」
と、お釈迦様のお墨付きをもらっている。

殺生というので肉食は日本では長らく禁忌でしたが、その実、村の生活ではたまさかに野ウサギをしめウサギ汁にしてきたわけです。

ホラ、上野の西郷さん、あれは愛犬連れてウサギ狩りに繰り出す姿だそうですゾ。西郷どんはペット用としてウサギ狩りしたわけでは断じてありますまい。

明治の文明開化のころ、牛豚馬の肉は、エイヤっと垣根を飛び越えるほどの勇気と興味をもって、当時の日本人は口にしました。

飛び越える垣根なく、村の日常の目立たないところで食べ続けられてきたウサギ肉は、戦後の繁栄とともに忘れ去られてしまった。

あるいは安ソーセージ用のほんの混ぜ肉として、できればその存在を知らしめたくないような低地位までに落ちぶれてしまった。

美味しいのになあ・・

「あんなにかわいいのに」
と、言われちゃうと、やはりなかなかむずかしいです。

ヒヨコだってかわいいのに、こちらは食べるのと愛でるのと両立できたのはどういうマーケティングだったんだか。

日清チキンラーメンにはかわいいヒヨコの絵があしらわれ、博多の名物屋台には焼き鳥屋「ピヨちゃん」という老舗があったと聞き及んでいます。

そこいくと、ウサギ肉専門レストラン「ミッフィー」と言われた日には、やはり食べづらいことこの上ないです。


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秋晴れの午後、歯医者の帰りの通りがかりにパチリ。カルーゼル凱旋門といって、19世紀初頭にナポレオンをたたえて建立されました。前方はルーヴル美術館。風がありけっこうホコリっぽかったです。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、ウサギの南仏野菜入りロゼワイン煮込み、白飯、グリーンサラダ


立ち呑み日記・ニンニクつぶし [困った!]

みなさんチの台所に、ニンニクつぶし器、あります?

うちはあります。二代目です。この二代目がしかし、すこぶるよろしくない。

二代目になってかれこれ十年以上にもなるんですが、使うたびに毎ッ度、(もうイヤッ)となるんですよねえ・・。ふゥんッ、と、全身全霊の力をこめなきゃならない。それはもう頭の血管がきれるかというほど。

初代は、万事よろしかったんです。

屋外マルシェの、台所用品専門屋台あたりで適当に買ったもので、アルミの簡素な格安普及品。ずっしり持ち重みする高級品と対極のペナペナですが、ニンニク入れてぎゅっとにぎれば瞬時につぶれました。

穴には詰まりましたけどネ。でも指でチャッチャカチャーとこそげばすむことです。

そうやって常用していましたが、別れは突然やって来ました。ワタシの濫用、自業自得です。固い、銀杏みたいなヘーゼルナッツをいい気になって割ったんですね。

アルミのペナペナだとは百も承知なものの、ふたつ、みっつ割ったらあんばいよかったので、よっつ、いつつといった。

「これはにんにく専用で木の実割り器ではないでしょ?」
と、傍のオットに注意されたものの、
「なんのこれしき」
と、ガサツを通していたら、あらら。

むっつ、ななつめで、ペナペナの底が抜けちゃった。

予想出来ていた結末です。仕方ない、いい機会だから上等のに買い直そう、と、地下鉄でデパートに赴きました。

友人の食卓で、実に素敵なのを見たんです。

その日は、主菜のつけ合わせにスパゲッティーが出たんですが、パスタは塩茹でのまままで味つけはなし。おろしチーズのボウル、塩胡椒、それに小皿のニンニクとニンニクつぶし器がまわり、各自お皿で好きに味つけする趣向でした。

フランス人ってパスタのこの食べ方、けっこう好むんですヨ、こういうところにもやはり個人主義がにじみ出るンんでしょうかネ。

このときのニンニクつぶし器には瞠目でした。

ニンニクは潰(つぶ)れるのではなく穴からトコロテンよろしく細長く出て来る。飛び散ることも、指でこそげる必要もなく、卓上使いにうってつけ。イタリア製とのことでした。

ワタシは、これと同じものが欲しかったんです。ところが、デパートをはしごしたっていうのに、ついに見つかりませんでした。

仕方なく、持ち重みだけは似通っていた別のを手に取りました。逆Tの字の押す部分が可動で、よりうまくつぶれるに違いないとふんだんですね。しかるべき値段もしました。

が、この可動式があだとなり、むしろ力がうまくこめられない。

もうイヤーッ、と、毎度絶叫しながら(心の中で)ニンニクつぶさないとならない人生って、どうよ。

「ならなんで買い直さないの?」
と、みなさま不思議にお思いでありましょう。

当人のワタシとて同じです。が、いまだ実現ならず。

なぜというに、ニンニクをつぶすのは料理中のほんの一瞬、つぶし終わるとニンニクつぶし器のことなどすっかり忘れちゃう。

こういう道具はちゃんと壊れてくれないと買い直すのはむずかしいです。


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買い物の途中、小公園でちょっとひと息。

前菜は、りんごとはちみつ、トマトサラダ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、グリーンサラダ
今宵はユダヤ教の新年、リンゴとはちみつで、とろーりとけてる甘(うま)き一年になるよう祝います。ユダヤ暦5777年だそうです。


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