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立ち呑み日記・散歩で食べたい [おでかけ]

「散歩に行かない?」
と、ただ今学期休み中でパソコン画面から離れないワルガキ二匹に半ばあきらめ境地で聞いてみると、案の定、「行かない」(即答)。

中学生ともなると、親と散歩などちっとも楽しくないんですね。

マ、そりゃそうダ。そこで久しぶりに、一人で街歩きに出ることにしました。

さてどこ行こう。

バスチーユという界隈の風景がなぜか頭に浮かんだので、ひとまずそこを目指します。

バスチーユには近代建築の新オペラ座がそびえますが、その北側は上野のアメ横風商店街にして夜の繁華街。

昼間見ると地味―な店構えながら、その実オッシャレ最先端のバーがひしめいています。

バスチーユは人気スポットでテナント料がうなぎのぼりになったところから、オッシャレなバーはバスチーユ北東の、かつてはうんと庶民的だった界隈へ進出し、今やむしろそちらのほうがよりオッシャレになっています。

東京でいうなら、谷中や根津といったところでしょうか。

そしてバスチーユ北東のその界隈こそが、昨年多くの犠牲者をだしたテロの標的にされたところです。やはり爪痕は深く、バスチーユに着くなり重装備の警官や兵士を多く見かけました。このあたりはユダヤ教会やユダヤ商店の多いところでもあるんです。

心なしか北東に向かうのを避けて北上します。オッシャレな店と庶民的な店が雑駁に続く商店街のとっつきは、ペール・ラシェーズ墓地の塀。

この墓地は墓石の形も個性的で、ジム・モリソンやイヴ・モンタンなど著名人も多く葬られた人気観光ポイントではあるんですが、本日はお墓めぐりの心境にあらず。

長く伸びる墓地の塀に沿って粛々と歩いてもつまらないので、早めに小路を東へ折れてみます。道行く人がずっしりした買い物カートをひいているのは土曜日の午後だからでしょうか。

土曜日はユダヤ教の安息日なので、残念ながらユダヤ商店はシャッターが下りています。代わりに、というのも変ですけど、アラブ商店は大盛況。ことにハラルというイスラム式食べ方のレストランなど時分どきをとっくに過ぎているというのに立錐の隙もないほどです。

ワタシも何か食べてみたいナ。

でも、お昼に白飯を炊いてお代わりまでしちゃったのでお腹はイッパイなんです。

『散歩の途中何か食べたくなって』という池波正太郎の名随筆もあることだし、でもやっぱりここはひとつ散歩の途中何か食べたい、とはいってもお腹イッパイ・・

懊悩しながら歩き続けると、ベルヴィルに着きました。

この界隈は、今来たアラブ・ユダヤ商店街を横軸とすると、縦軸は中華街です。温州という粉もの文化地域出身の中国人が多く、安価な汁麺屋さんが軒を連ねています。

しかし、まったくくやしいことにお腹イッパイ。

小腹よ空けと念じながら足を速めるうちにいつしか中華街は遠のき、これでは家に着いちゃうと焦るうちについにお腹がグーと鳴ったので、最初に目についた人気(ひとけ)のないホットドッグ屋にとびつきました。

これが、パンぱッさぱさソーセージひッやひやでガックシのお味。つべこべ考えず汁麺屋に入ればよかったと心から後悔しましたね。


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このあと通りがかりにポンピドー文化センターという、マチスやマグリットなど近代美術の美術館にも寄っちゃいました。その階上から日が暮れる前に大急ぎでパチリ。

前菜は、フムス(ヒヨコ豆のペースト)とセロリ、花がつおをかけたさいの目フェタチーズ(羊のチーズ)、トマトサラダ
主菜は、ポトフ


立ち呑み日記・運命的恋愛 [買い物]

「誰かいい女性(ひと)いないッスかね」
と、肉屋に行ったら新顔の弟弟子(でし)に、兄弟子ピエールを横目でやりながら聞かれました。

ただ今パリ地区は学期休みで、店長のジルが休みを取って家族旅行に出かけている間、別の支店から新顔くんが派遣されて来ているんです。

新顔くんは、無口で実直なピエールとは対照的な、軽口のはずむ青年です。

「日本女性に的を絞りたいんだって」
と、横目つかいながら日本人のオバサン(ワタシです)にいたずらっぽい顔をむける新顔くん。

「そこまでは言ってないだろッ」
と、ピエールは大慌てです。

新顔くんが言うには、ピエール先輩のような勉強熱心で真心のある精肉職人にこれまで出会ったことがない、にもかかわらず先輩はといえば彼女いない歴が年齢と同じ満25年、それって不条理じゃないスか・・

それ、こないだうちまで店長のジルが言ってたことと同じなんですヨ。

牛挽き肉でも買おうと肉屋へ行ったら、包丁握ったなりで真っ赤になっているピエールを、店長ジルがからかい半分でかきくどいている真っ最中だったんです。

ジルがすすめる女性はというと、買った肉がショボかったとクレームつけてきた40代前半のマダム。近所の八百屋でバナナ一本ぽっきり買いを見かけて独り身の確信を深めたそうです。

歳の差カップルなどめずらしくないですしね。

「なにしろ住まいのアパートがすぐ近くなんだからさ」と、店長ジル。「午後の休みに横になれるんだぜ、繰り返すが、横になって身体休められるんだぜ」

ちょっとォ、ヒルネするための彼女なの?
と、ワタシも口をはさみました。

「ボクは断じて愛し愛されたいんですよ」
と、これまた大真面目に返答するピエール。

肉屋といったらなかなか苛酷で、午前7時から13時までと、いったん閉店して16時から20時まで立ち仕事の力仕事、午後の3時間をいかに休むかにかかっています。

職場近くに住まいを見つけた店長ジルはいったん帰宅して横になれますが、アパートの遠いピエールは寒空でも公園のベンチで過ごしているんです。

ピエールは、店で対応したその美熟女をふつうにお客としか思えなかった(そりゃマそうだ)。

「そこをもっと積極的にサ、横になったらうんといいことあるって」
と、人の悪いジルはやや卑猥な腰つきまでしてなおもからかいました。

「ボクは本気の恋愛がしたいんだよ」
と、ピエールが弱り切っているのでさすがにかわいそうになり、鹿爪らしく助け舟を出しましたね。

「ヒルネの関係はでも、本命ができたとき別れるのに苦労するわよ」

運命的に出会ってときめきたい、というピエールに、もっともだと思いました。

「だからそのためには出歩かなきゃだめなんだって」
と、新顔くんはもどかしげに足踏みせんばかりです。「先輩はほんッともう出不精の引っ込み思案なんだから」

「どんな女性がいいの?」
と、ピエールに聞いてみると、
「同世代で、宗教人種問わず、優しいひと」
と、これまた真剣な顔で答えるではないですか。

わかったわ、心当たりがいたら口きくわ、
と、心から約束して、鶏をロースト用にさばいてもらいました。


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前年のクリスマスごろからパリの山の手お金持ちあたりの子息の間で大流行だったもようの、電動スケートボード。学生街のうちの近所では乗っているひとをついぞ見かけたことなかったんですが、本日安物屋に発見。これからうちの界隈でも一足遅れではやるんでしょうか。安売りになっても4万円ぐらいと安くない値段です。

前菜は、オイルサーディンをのせたトマトサラダ
主菜は、レンズ豆の煮込みと挽き肉(以上残り物)のトマトソースがけチーズ焼き、モロッコいんげん塩茹で

立ち呑み日記・アメリカへ [おでかけ]

「ニューヨークへ行きたいか―ッ」
という福留アナウンサーの挑発的な呼びかけが、何度聞こえてきたことか(脳内で)。

何それ?
という声がお若い方々からわいて来たようなので説明しますと、「アメリカ縦断ウルトラクイズ」という番組が、ワタシらの若いころ大人気だったんですね。

クイズに正解していけばアメリカ縦断の旅が続けられ、間違えるとその場で日本帰国。

番組の成功の裏にはスタッフと旅行会社の綿密な連携がありチケット手配や入国の書類作成に並々ならぬ手腕が発揮され、そのお蔭で参加者はクイズ回答に集中でき、一喜一憂の表情がありありと映し出されのだそうです。

(旅行会社ってすごいなあ・・)
と、パソコン画面をにらみながら何度もため息つくまいことか。

いえね、ただ今、今度の5月の学期休みに、ワルガキ二匹の長年の夢だったアメリカはフロリダのユニヴァーサルスタジオを訪れるべく、準備している真っ最中なんです。

フロリダのそこには、大阪のUFJより規模の大きい「ハリー・ポッター」のアトラクションがあるんですヨ。

でも、本当に行けるのか。

なにしろアメリカといったら車なしにはどうにもならないというのに、ワタシは年季入りのペーパードライバーで、運転は無理。

でも、調べていくうちに、ユニヴァーサルスタジオのあたりは車なしでも「ダイジョブ」というのがわかって来ました。

この一帯はディズニーを中心としたテーマパーク銀座で、バスやタクシーで十分移動できるのだそうです。

そういう点をかんがみてホテルを調べ、航空券と組で買うと安いという知恵も仕入れ、テーマパークの入園チケットにいたるまでプリントアウトまでこぎつけました。

(旅行会社ってすごいなあ・・)
とは、この時点ではちっとも思いませんでした。むしろ
(独力でできたワタシってすごいなあ・・)
と、鼻ピクピク。

で、一件落着とばかりねそべって旅行ガイドブックをぱらぱらやっていたら「エ」となったんです。

そしてガバッと起きた。

アメリカ入国って、フランスのようにパスポートさえあればいいわけじゃないんですってね。知りませんでした。

2009年からこっち、日本人やフランス人などは観光旅行の場合、ESTAという事前登録をインターネットでして、その料金をクレジットカードで払っておかなければならない。

今日たまッたまガイドブックを開かなければ、ワタシら親子は空港まで行きながら指咥えてすごすご引き返すハメになるところでした。

アメリカ政府のESTA登録画面をにらみ、もう、もンのすごく緊張しましたね。旅行会社が代理で申請してくれたら大船に乗った気分でいられるのに・・

「質問の回答によっては入国できない場合があります」
とのことで、不調法な回答をしでかしたらどうしよう・・

「逮捕歴がありますか」
「アメリカに不正入国したことがありますか」
などが質問で、いずれも「いいえ」でした。

「楽しいご旅行を。米国訪問を歓迎します」
と、最後に画面に浮き上がった時のホッとするまいことか。

「ニューヨークに行きたいか―ッ」
にもちゃんと答えられますぞ。

「ニューヨークを経由してフロリダへ行きまーす」

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ただ今2月の学期休み(通称スキー休み)中なんですが、11歳のムスコの国語(フランス語)に詩の暗唱の宿題が出ました。毎日2行ずつ、カントクしなけりゃいけない親もメンドくさいです・・

前菜は、野菜ポタージュ
主菜は、平目の焼酎蒸し・グレープフルーツとケッパーとバルサミコ酢のソース、じゃがいもピューレ、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・昔の味 [おやつ]

あれは、「モーレツ」時代のオトーサンがめったになく台所に立ったからこそ美味しく感じたのかもなあ・・、
と、カルメ焼きの残骸おテンコ盛りに思うことしきり。

不意にカルメ焼きを作ってみようと思い立ち、奮闘の末なんとかカッコがつくまでになったんですが・・
(前回・前々回の立ち呑み日記をご高覧ください)

いかんせん売れ行きが悪い。ただ甘いだけで製作者(ワタシです)とて手が伸びません。これならば再現などしようとせず、いい思い出にとどめておく方がずっとよかった。

そういう食べ物って、ほかにもありません?

ワタシなどこの年末に日本へ一時帰省し、スーパーの特売で買ったイチゴのショートケーキを食べたんですヨ。

おとしごろ時代の大好物筆頭でした。生クリームをスプーンでどんどん口に運ぶシアワセ。「ホール食い」を一度してみたいと夢見たものでした。

ところが今回、生クリームをひと舐めしただけで、そっと皿を押し戻しました。

風味がまるでないどころかロウ細工みたい。安いケーキなのは確かですが、でもそれだってあのころは十二分においしかったんです。

同時にモンブランも食べましたが、これまたがっかり。

黄色いオソバが上に渦巻いているところをぱくっといくと、われとわが身がにわかに信じ難いほどに、往年の感激今いずこ。

栗の風味もなにもなく、もっさり甘いだけです。

このがっかりってホラ、片思いの見目麗しかったセンパイに何十年ぶりかで再会してみたらメタボで風采の上がらない小男になりさがっていたときのがっかりと似ています。

「自分とてオバハンになりさがっているくせにッ」
というお叱りが聞こえてきたようですが、しかり。

オバハンになりさがるまでの間に、味覚にどんな変化があったのか。センパイの人生にもいろいろあったでしょうけど、ワタシらにもいろいろあった。

オバハン(ワタシです)の思い出の食べ物でいいますと、半切りスイカのフルーツポンチなんかもその部類です。

今生きていたら110歳になる同居の祖父が、戦前の子どものお大尽を
「ひとつやろうじゃないか」
と、高度成長期の夏休みのある日、オカーサン(ワタシのオカーサンです)がナイロンひもの網でスイカを吊り下げて買い物から帰ってきたのを目にして孫を前に言い出したんです。

大きなスイカを半分に切って中を大まかにくり抜き、砂糖と氷とサイダーを落としたところを一同で取り囲み、スプーンでこそげたり、ストローで吸ったりする。

この食べ方、『サザエさん』(単行本のほう)でも見たことある、ような、気がします。

「わーい!」
と、ワタシとオトウトはとびつきましたが、一家の嫁(ワタシのオカーサンです)は、ムウッと怒りを堪(こら)えた顔で舅の要望にこたえていたものでした。

丸ごとスイカは安くないっていうのに、ちゃんと食べればいいものを一気に半分も無駄にしてしまう。

案の定、遊び食いにつつくだけつつき、
「もうらない」

スイカ半切りのフルーツポンチを食べたのは後にも先にもこの時だけです。

これなどやはりこれからも再現しようとせず、記憶にとどめておくのが華の「昔の味」だと思いますね。


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この土曜日の半ドン授業が終わると学期休み(フランスは休みが多いんです)。家に帰るなりそのへんへほっぽらかした11歳のムスコのリュックをこっそり開けてパチリ。このあとリュックのポケットからひッどい点数のテスト答案を発見することになります(怒)。

前菜は、お椀一杯の野菜ポタージュ(昨日の残り)、トマトサラダ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、グリーンサラダ

立ち呑み日記・カルメ焼き2 [おやつ]

調理用温度計、やっぱり買っちゃいました(昨日の立ち呑み日記をご高覧くださいませ)。

カルメ焼きをつくってみようと思い立ったんですが、熱した砂糖水の温度を
「125度、温度計できちんと測る」
と、どのレシピもこうなんです。

デパートの売り場で手に取ってじーとしばらく考え込みました。ホンットに買っちゃっていいのか。使うのはこの一回きりかもしれなのに、ホンットのホンットにいいのか。

値段は12ユーロ(約1500円)ですから、まあそんなにはお財布は痛みませんけど、台所の引き出しの肥やしをみすみす増やすだけですからね。

よし、これからはフライ油もスープも、それから熱燗なんかも温度を測ることにしよう、と、心に誓い、レジへ向かいました。

温度計は金串に小さなデジタル画面がついた形で、50度から300度まで測れるもよう。

「鍋底など熱した本体には先端をつけないでください」
と、あります。

帰り際、スーパーに寄ってグラニュー糖も買いました。前回はうちに常備の、フランス語で言うところのカソナードという黒砂糖粉末でやったんです。

ふくらまなかったのはひょっとして砂糖のせいもあったかなあ・・と、思ったわけです。グラニュー糖は結晶化しやすく、ふくらみやすいのだそうです。

デワデワ、温度計のボタン電池の下のセロハンをはずし、台所へ。

重曹液は卵白と重曹と砂糖を混ぜもったりさせます。ここまではこないだもちゃんとできました。前回と同じくグラニュー糖大さじ2、水大さじ1をミニミニフライパンにとり、火(電熱器)にのせます。

ふつふつしてきたところで、いよいよお初の温度計を挿入。

先端を鍋底につけない、というのが実にむずかしかったです。

なにしろたった大さじ1の水でほとびたくらいの量、先端をギリギリのところで浮かせて手を固定させているのは、熱くなって来る中で至難の業。

ふつふつする砂糖液の様子を温度からかんがみて見極めようとがんばりましたが、これまたむずかしいんですね。

気泡を観察していると温度が知らぬ間に上がっているし、ぐんぐん上がっていく数字を追っていると、気泡がどうなってるんだかわからない。

中くらいの気泡がふつふつ、ふつふつして下から小さい気泡がプクプク生まれてくる、テナ感じが125度のようです。

温度計のタイマーがピーピーいったところで火からおろし、ひと呼吸。そこから重曹液をチョンとつけたすりこぎで一気呵成(かせい)なんですが、一回目はあえなく撃沈。

フライパンの大きさに対して砂糖液が少なすぎるのでは、と、思い至り、次はいきなり三倍でやってみました。すると、とうとうふくらんで表面が割れました! しかも、真っ白で美しい。

ただ、フライパンからはずすのにしっぱいしまして、表面以外はモロモロに崩壊。

「おいしーい」
と、家族から言ってもらえるかナとおやつに出したところ、ひと口かじって
「甘いだけだね」
の一言のみで見向きもされなくなる運命でした(涙)。

製作者(ワタシです)としても、味に関しては家族に同意せざるを得ず、もっとちゃんとカラメル味だったらいいのにと思いましたです。


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奥の、白いボールペンみたいなのが金串の「さや」だと思うんですが、先っちょだけであとはどう押し込んでも入らないんです。何か、ミスがあるもよう。

前菜は、野菜ポタージュ(87度)
主菜は、七面鳥ささ身ムニエル(80度)、ベシャメルソースをかけたマカロニ(67度)、いんげん塩茹で(42度)

立ち呑み日記・カルメ焼き [おやつ]

カルメ焼きにちょうどいいワ、
と、スーパーの台所用品売り場で、投げ売りのミニミニフライパンと「目が合って」、そう思っちゃったんですね。

ママレンジにのせられそうなおままごともどきです。

さくさくほろっとほどける、あの甘―い味が口の中によみがえり、どれひとつカルメ焼きつくってみようじゃないのとカゴにとりました。

子どものころ、オトーサンとつくったことあるんですヨ。ワタシら世代の親といったらカルメ焼きの先駆者みたいなもンですからね。

戦前の、『子供の科学』だかの子ども雑誌に作り方が出ていて、首っ引きでおやつを手作りしたハナシは耳にタコができるくらい聞いています。

七輪・おたま・すりこぎが道具の三種の神器と聞き及びましたが、ワタシが小学生のころ家にもはや七輪はなく、ガス台で挑戦しました。

オトーサンは昔取った杵柄で、すりこぎの先に重曹液をチョンとつけて一気呵成(かせい)とかきまわし、見る見るふくらんでいきます。

(こんなおいしいお菓子が家でも作れるんだ)
と、おやつといったら「チョコベー」や「サッポロポテト・バーベQあじ」にかぶりついているワタシら高度成長期の子どもも瞠目したものです。

配合は忘却の彼方でしたが、検索したらたちどころにわかりました。

重曹を少量の卵白でもったりさせた発泡液を横に用意し、おたまに大さじ2の砂糖と水大さじ1をまぜて125度まで熱したところで火からおろし、ひと呼吸おいたのち、すりこぎ(ないしは割り箸)の先端に発泡液をチョンとつけてひたすらグルグルして、頃合いを見て手をどけるとぐんぐん膨れてくる。

どうです、そう難しくもなさそうではないですか。

砂糖を加熱して粘りが出たところで重曹の二酸化炭素が充満して風船ガムみたいにふくらんだところで卵白のたんぱく質が固める、ということのようです。

うちの台所は電熱器なので丸底のおたまでは加熱できず、ミニミニフライパンでいくわけです。

砂糖液の125度は、
「必ず計測して」
と、どの作り方にもあったんですけど、料理用温度計を台所に常備しているうちって、あるものなんでしょうか。

以前テレビで、名パティシエが砂糖水を火にかけて温度によってガムシロップやらメレンゲやら飴やらをどんどん作っていくのを見たことあるんですが、名人は温度計など使わず、泡の大きさだけで判断してましたゾ。

ワタシも名パティシエを気取って、大きな泡がくずれて小さいな泡になるころが「そのとき」じゃないかとなんとなく見当をつけました。

結果から先に言いますと、何度もやりましたが成功には至りませんでした。

やはり温度計測は必須だった。

ふくらまないでフライパンでコチコチに固まっていく砂糖をはがすのはなまなかでなかったです。

温度計を買って改めて挑戦、とも思うんですが、考えてみたらパン屋に行けばカルメ焼きに似たメレンゲが安価で売っていた。

「甘すぎー」と、うちの家族はこれを敬遠するんですね。

温度計をわざわざ買って成功を見ても、カルメ焼きもまた甘すぎと敬遠されるかも、と、弱気になりまして、本日はミニミニフライパンで胡麻を炒っただけで終わりました。


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在パリ回教寺院の前を通りがかったのでパチリ。ここにはイスラム教でなくても入れるアラブ風蒸し風呂と、すごおくおいしい北アフリカ(のアラブ)レストラン兼素敵なティーサロンがあります。ここのレストラン兼サロン・ド・テは味も雰囲気も素晴らしいんですが、あんなにもおいしいのにオサケがないのがワタシなど苦渋の一言。

前菜は、カボチャのポタージュ
主菜は、シュークルート(仔牛と豚のフランクフルト二種、キャベツの酢漬け、蒸しじゃがいも)、いんげん塩茹で、ミニマカロニのニンニクとクリームあえ

立ち呑み日記・生のあんきも [主菜]

魚屋の前を通りがかったら、オヤ、なんとなんと、鮟肝(あんきも)が、ある。

生、ですゾ。この魚屋で、初めて見かけました。にぎりこぶしを二つくっつけたぐらいの大きさで、肌色のなかに気まぐれな感じに淡桃色をさっと刷(は)いた、ぽってりあでやかなお姿。

ヘーエ、こんなの売ってるのネ、と、右から左から子細に眺めましたね。鮟肝は細かい氷の上に乗せられた笊(ざる)に、ぽってりといくつものっています。

パリの魚屋で鮟鱇(あんこう)は高級魚として上座に並べられていますが、ふつうはシッポのほうの身ばかりなんですヨ。

以前はごくたまーのたまーに、マルシェの魚屋の客寄せに、アンテナ立てた鮟鱇の吊るし切りを見かけたものですが、それだってかれこれ20年以上前のことで、最近はとんと見かけません。

「鮟鱇の顔なんて拝んだことないよ」
と、魚屋のお兄さんも言っていたものです。

卸売市場で仕入れる時にはもう、鮟鱇はシッポの近くで切られた例の姿になっているのだそうな。あのすざまじいお顔のあたりはどこへやられるのか。

(日本じゃないのかな)
と、ふんだんですが、どうでしょうか・・

・・検索してみたところ、日本は茨城県や山口県の下関で水揚げされていて、欧州から輸入するまでもないみたいです。

あんこう鍋といったら有名ですよネ、あと、唐揚げや、身と肝を味噌などとともに和えた「とも和え」などにするそうですが(どれとっても食べたことありませぬ)。

さて生の鮟肝、どうやって食べればいいんでしょうか。あんきもの作り方は検索したらたちどころにわかりました。

全体に塩をふって二十分ほど置いたところをアルミ箔で巻きずしのように棒状に巻き蒸し器で蒸す。以上。

なんだかどうも、意外なほどカンタンです。

天下の珍味あんきもといったら職人技の、道場六三郎みたいな和食の名料理人にしかつくれないものだとばっかり思ってました。

「フランスではどうやって食べるの?」
と、魚屋のお兄さんに聞いてみると、
「ソテーだね、仔牛レバーなんかより淡泊でうまいよ」

フランスで肝(きも)といったら鶏レバーや仔牛レバー、格安なれど味がうんと落ちる牝牛レバーがよく食べられています。

豚レバーは、パリは豚肉を禁忌とする宗教の人々もたくさん住んでいるところから肉屋の売れ筋とはいえず、めったに仕入れないものだそうです(地方によっては売れ筋です)。

魚のほうは、タラの肝の油漬け缶詰がスーパーで安く買え、おつまみにとおってもヨロシイんですヨ。

しかし今日は、なんといっても生のあんきもが目の前にある。しかもキロ10ユーロ(1300円)というんですからお買い得です。鮟鱇の尻尾の方の身の半額以下。

自分のためによーく選ってひとつ買いこみました(うちの家族一同レバーには冷淡なのでひとつのみ)。

日本風のあんきもに蒸してみようかなー、
とも思いましたけど、魚屋のお兄さんのおすすめのソテーにして、アジア食材店で買ったミツカンポン酢をかけてみたら、これがもう、もう、今思い出してもうっとりするくらい、白ワインがすすんじゃうお味でございました。


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オペラ座の背後で信号を待ちながらパチリ(左の建物です)。


前菜は、ビーツ(赤かぶ)とリンゴのサラダ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、グリーンサラダ

立ち呑み日記・夜はおすまし [前菜]

好きな味噌汁の実は? というアンケート記事を、身を乗り出して読みました。

1位豆腐 2位わかめ 3位ネギ 4位油揚げ 5位きのこ
だそうで、他にも玉ネギ、大根、かぼちゃ、かぶなどが挙げられていましした。

どうです、どれもこれも
(わかるなあ・・)
と、しみじみしませんか。

ワタシなどこないだ友人におしえてもらって半信半疑でトマトを入れてみたらこれがまあ、軽い酸味とあいまってことのほかヨロシかったです。それに、夏の菜ですが、茗荷とすいとんがワタシ、大、大、大好き。

で、この記事をじーと見つめるうちに思ったんですが・・

おすましは、みなさまのところでどうなっているのか。

いえね、この年末年始に一時帰省している時に、80歳過ぎの老父が晩ごはんにお椀ものを所望しながら言い出したんです。

「昔は、夜はおすましだったもンだ、おみおつけは、朝だけ」

・・・・そういや、そういや、そうだったなあ、と、遠―い昔の食事風景がよみがえりましたね。

確かに夜は、おすましでした。ワタシがうーんと幼いころ、キャベツと卵とじのおすましなんかだと、うれしかったもンです。

「薄切りチクワのおすましもよかったナ」
とは、東京育ちの老父。

しかし、いつのころからか味噌汁が夜も食卓に上るようになった。

エート昭和49年になるのか、小学生のとき房総半島の古い旅館へ海浜学校に行ったんですが、この時の三度のお食事がまさに、どんぶりめしに朝味噌汁、夜おすましでした。

が、我が家ではこのころにはもうとっくの昔に夜味噌汁になっていた。

朝がパンとコーヒーになったころにそうなった気がします。昭和40年代初頭です。おそらく同じころに、多くのワタシらの親世代が古くからのこの習慣を捨てたのでありましょう。

「義父が味噌汁は朝だけで夜はおすましと言い張るんですけど、そんな決めつけ聞いたことありますゥ?」
というような質問を、読売オンラインの大手小町で見つけましたが、
「うちもそうでしたよ」
という方の多くが、
「でももう30年以上も前のことです」
と、お答えでした。

味噌汁は歴史的に今日のインスタント食品のような略式の簡便食で、出汁を丁寧にとるおすましのほうがご馳走なので正餐である晩ごはんにはおすましをつけたものだそうです。

今や、そのご馳走のはずのおすましは味噌汁に完全におされてしまっているのではないでしょうか。

だって、考えてみてくださいヨ、
「好きなおすましの実は?」
という質問に、いくつ答えられます?

オクラと豆腐,蕗(ふき)とこごみ、ズッキーニとわかめ等々、クックパッドには満載で、どれもみんなおいしそうですが、味噌汁の「豆腐」や「わかめ」のような、誰もがナットクの定番テのがないではないですか。

かつてはそれが玉子とじであり、チクワの薄切りであったわけでしょうが、途絶えてしまった。

味噌汁とおすましはかつては日常の双璧だったのに、いやむしろおすましのほうが位もギャラも上だったのに、カレーライスとハヤシライスに同じく、一方が売れ一方が沈んだ漫才師のごとき差がついてしまった。

おすましが再浮上する時代は、やって来るんでしようか。


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春はまだまだだなあ・・と、つめたい小雨の降る朝上方を見上げてパチリ。

前菜は、カボチャポタージュ
主菜は、仔羊腿肉ソテー、ハッセルバックポテト(じゃがいもの底一枚まで千切りに包丁を入れた半生ポテトチップ風オーブン焼き)、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・大会への道 [ワルガキ]

「なぜよりによって学期休み中に開催するかしらねえ」
と、11歳のムスコの大親友マチスくんのオカーサンの、くさすまいことか。

大親友どうし習っているチェスの力試しに級別全仏選手権のパリ大会に出場したんですが(前回の立ち呑み日記をご高覧ください)、勝ち進んだ次の地方別大会は2月末の学期休み中なんですヨ、しかも丸々一週間。

パリ大会は持ち時間20分で1日に7局だったところ、地方別大会は50分で1日2局ずつだからだそうです。

マチスくん一家のスキー旅行と重なり、今回は選を逃れたものの、出場の権利を得て本人もやる気だったとしたら、せっかくの家族旅行をやめるわけらもいかず、はなはだ心苦しいこととなった。

丸々1週間かかるからこそ学期休みに重ねたのでありましょうが、マチスくんのように家族旅行を予定している子どもは次に進めないことになります。

子どもの部活を中心に家族のスケジュールが組まれる日本と異なり、フランスは家族(親)が第一で、土曜日に授業があろうが平然と休ませ週末は家族そろって別荘で過ごす、なんていう家庭はめずらしくないんですヨ。

学外活動で頭角をあらわす子どもって本人の才能もさることながら、親(ことにオカーサン)の決断とがんばりあってこそなのだなあ・・と、今回、うちのムスコがたまッたま地方別大会への出場権をいただいたところでしみッじみ思い知らされましたね。

だって、我が子に何かしらの才能の萌芽が見えたとして、家族そろって楽しみに、しかも予約金全額払ってあとは行くだけのスキー旅行をキャンセル、なんてこと、できます?

才能ある子の親は試合やオーディションの予定をかんがみた上で家族旅行の予約金払っている、ト、正論言われちゃったら元も子もないんですが。

費用だってうーんとかかるんです。

チェスの大会でいうなら、今度の地方別大会もまたパリ市内の体育館ですからいいものの、全国大会となるとナントカいう地方の町に1週間の滞在となります。

「交通費および滞在費は各家庭の負担になり、また保護者の付き添いも必要となります。」
と、申し込み用HPには太字で明記されています。

さてうちのムスコはどうすべきなんだか。たぐいまれなき才能はちょっとあれとしても、せっかくいただいた権利を行使すべきか。

が、万が一の万が一勝ち進んだとして、春の学期休みにナントカいう町へ1週間行く決意はあるのか。

「あり得なーい」
と、まだ地方別大会に行くとさえも言ってないのに、うちの13歳のムスメが大反対の声をあげました。この春休みは家族で旅行をとずいぶん前から楽しみにしているんです。

当のムスコは、地方別大会に出てみる気はさらさらないそうです。
「せっかくの学期休みなんだよ、それを1週間もチェスにつぶすなんて、あり得なーい!!」

凡人は、パリの地区大会で勝ち抜いたところで棄権が「華」じゃ、ないでしょうかネ。

「棄権しなかったら全仏チャンピオンになれた、かも、しれないんだよ」
という空想の余地が、ありますしネ。


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ノートルダム寺院なんですが、日本語が、まあ間違ってはないですけど「珍宝」と並んじゃうとねえ・・。温泉街のあやしげなのがありそうです。

前菜は、カレーサモサ、トマトサラダ
主菜は、牛挽き肉ステーキ、蒸しじゃがいも、モロッコいんげん塩茹で

立ち呑み日記・チェスの大会 [ワルガキ]

観戦席の上方の見づらい席へ移動して、やれやれ。

ただ今パリの北はずれにある体育館で、11歳のムスコがお稽古に通っているチェスの全国大会パリ地区選抜大会を眺めているところです。

いやはや今朝はたいへんでした、あろうことか今日のことをすーっかり忘れてグースカ寝入っていた。

ブルルル・・と、電話が鳴り、(日曜の朝っぱらからもゥ・・)
と、不機嫌丸出しで受話器をとると、
「5分で着くから家の前で待っててネ!」
と、ムスコの大親友マチスくんのオカーサン。

うッそーっ、と、飛び起きてムスコも起こし、大車輪で歯を磨いてとにもかくにも飛び出しました。

大親友どうしは毎週チェスのお稽古に通っていて、本日はその力試し、マチスくんのオカーサンの車でともに行く算段になっていたんです。

朝ごはん、どころか水さえ飲ませる暇なく出発。

幸い、マチスくんのオカーサンがおやつのチョコビスケットをわけてくれたので、会場につくなりぽりぽりやります。

体育館にはずらーっと長テーブルが並び、級ごとにグループができています。11歳のふたりは4級あるなかで下から3番目、年齢相応です。

本日は7局対戦し、1局勝ったら1点、引き分けで0.5点もらえ、つごう4点獲得できれば地方大会に進出できるしくみ。

点数の同じどうしが対戦していくんだそうです。

こちらのオカーサン(ワタシです)はいったん会場をとび出して食べ物飲み物を買いに走り、戻ってみるとマチスくんのオカーサンがかぶりつきの特等席をみごとゲットしていました。

ここで見守るなか開戦となったんですが、観戦席はどんな観戦だってここまでざわざわしないだろうというまでにざわざわし、目の前をひっきりなしに大人が通り、ちびすけが走る、それらの足につま先を踏まれる。背後もまたひっきりなしに大人が通りちびすけが走る、それらの足に背中を蹴られる。

マ、スポーツみたいな「見せ場」がないですしね。

だいいち双眼鏡で我が子を探し出し、その表情をかたずをのんで凝視しながら一喜一憂する、なんてことした日には身が持ちません。そこで、かぶりつきを放棄し、なるたけ人が来たがらない席へと移ったわけです。

第1局、寝起きのムスコは実に幸運なことに対戦相手が来なかったため、不戦勝となりました。

「インフルエンザだわね、来られなかった子はおそらく」
と、マチスくんのオカーサン。

家に残っているマチスくんの妹が昨日からそうで、マチスくんのオトーサンにもまたうつり、目下発熱をおして娘の看病をしているありさまだそうです。

遠目でも我が子はわかり、勝てばぴょんぴょん跳ねて本部へ報告に行き、負ければノロノロおっくうそうに席をたつ。

ムスコは不戦勝のおかげか4点獲得して地方大会へすすめることとなり、マチスくんも3点と善戦しました。

今大会には彗星のごとくあらわれた在仏日本人の天才少年がいて、6歳かそこらで年齢よりはるか上級クラスで楽々全勝、全仏チャンピオン候補だそうです。

地方大会は2月の学期休み中なので、家族でスキー旅行に行くことになっているマチスくんのオカーサンは、むしろ胸をなでおろしてました。


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信号を待ちながらパチリ。夕方の買い物に行くところです。

前菜は、トマトとツナのサラダ、チコリのサラダ
主菜は、カレーライス、いんげん塩茹で