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立ち呑み日記・シンデレラ [ワルガキ]

ペロー童話『シンデレラ』とグリム童話『シンデレラ』はどう違う?
というフランス語(国語)の宿題を、10歳のムスコがもらってきました。

グリム童話もペロー童話も子どものころ読んだっけかナ。

「じゃオカーサンは違いが分かるんだね?」
と、ノートも広げずハナほじってるバカムスコ。

エート、シンデレラと言われたら違いも何も、♪ビビディバビデブーが脳内に響き渡り、ディズニー一色になってしまうのは否めません。

ムスコが机に一応出したもののページを開けてもないペーパーバッグを横からパラパラしてみました。まずはフランス勢ペローのほうから。

童話は小学校低学年のころよく読んだので、
「あるところにうつくしいおひめさまがおりました」
というような平易な言い回しだった印象があります・・

・・ところがフランス語の原作は17世紀のもので、今とは違う言い回しが意外にもむずかしい。グリムはその百年後、18世紀ドイツ人ですが、フランス語なれど現代語訳なので読みやすいです。

ディズニーでは確か、母が死に、再婚した父親もまた死んでしまい意地悪な継母および連れ子姉妹のもとシンデレラ天涯孤独、という設定だった気がするんですが。

ペロー版もグリム版も、父親は健在でした。

それどころかグリム版の父親は再婚相手一家と結託して
「あの汚らしい灰かぶりが舞踏会に行けるわけがない」
とかって言い放つ。

ペロー版では冒頭に「再婚した」とあるだけの影の薄い父親で、実子にあれだけ虐待が横行しているっていうのに意に介さない(としか思えない)。

シンデレラいびりは、グリムのほうが激しいです。

「舞踏会に私も行きたい」
と慎ましく申し出るシンデレラに、義理姉はえんどう豆をそのへんへざっとこぼし、
「2時間以内に拾えたら連れてってあげる」

グリム版に魔法使いは登場せず、ハトなど鳥たちがシンデレラを助け、ものの半時間で豆を拾い上げます。意地悪姉は内心驚きながらも難クセつけて、せっかく集まった豆を、今度は暖炉の灰の中へザッ。

義理姉二人の根性悪さッぷりといったら「渡鬼(わたおに)」調で、連ドラならグリム版のほうが視聴率上がりそうです。

対して特撮映画となるとペロー。

魔法使いの杖の一振りで、灰かぶりがお姫様へ、カボチャが豪華馬車へと一気に変化するわけですからね。

グリム版は魔法使いの代わりにハトが衣装をもたらし舞踏会へといざないます。

帰るべき時間が近づくと、ペロー版では今はまだ素敵なままのカボチャの馬車に急ぎ飛び乗り、グリム版では自ら木によじのぼって飛び越えていく。このあたり、ファッションに強いフランス人、エコに関心の高いドイツ人の魂が感じられます。

そして片一方だけ残される靴。ペローはガラス、グリムは金と銀の靴です。

ペローは性善説、グリムは性悪説とでもいますか、ペローでは王子と結婚したシンデレラは義姉妹を赦(ゆる)して良縁まで世話しますが、グリムの意地悪義姉妹は財産のおこぼれをおもねて婚礼の席のシンデレラの両脇にへりついたところをハトに目をくりぬかれるという、なかなかオソロシイ結末が待っています。


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みなさんのお宅ではゴハン何合お炊きになりますか? うちは10歳と12歳のワルガキにより、毎日バゲット3本買います。

前菜は、にんじん千切りサラダ
主菜は、生クリームソースで和えた七面鳥ささ身のムニエル、マカロニ、いんげん塩茹で、グリーンサラダ


立ち呑み日記・BCR再結成 [おとしごろ]

ベイシティローラーズが再結成し、この年末に英国のグラスゴーでコンサートをする、という記事を見つけました。

そういう音楽ユニットが大昔にあったの? 
という声がお若い方々から聞こえてきたようですが、あったなんてもンじゃなく、たいへんな人気でした。ちなみに音楽ユニットでなく「バンド」と呼んでました。スコットランド・エジンバラ発のアイドルグループで、民族柄タータンチェックがトレードマークです。

「追っかけ」「グルーピー」という言葉はこのときに生まれたはずです。

学生時代の友人ユカちゃんがまさに追っかけで、東京公演ではメンバーが滞在するホテルに自分たちも一室とって大騒ぎしたほど。

その仲間うちの一名にいたっては正真正銘グルーピーで、つまりお目当てのメンバーと「Cまで」いっちゃったそう(当然ながらその首尾を後でファン仲間に得々と発表する)。

しかしまあ、ふつうの熱烈ファンはユカちゃんのようにタータンチェックをまとい、LPを擦り切れるまで聞き、コンサートで絶叫し、空港に出迎えに行くのが王道だったのではないでしようか。

ユカちゃんは中学のころ放送委員に立候補して、お昼休みに音楽室でレコードコンサートを開いたりしたそうです。

かわいいもンですよネ。

こういう熱心なファンは何十年たっても熱心で、日本で同窓会コンサートがたびたび開かれてきたようです。

今回の再結成は、レスリー、ウッディ、アランの三名で、ギターのエリックも加わるかもしれない、とのこと。アランは早くに脱退し、その後釜にイアン、次いでパットがメンバーとなりました。

ワタシなどユカちゃんと二人で大学の卒業旅行にトーマスクック時刻表をバックパックに入れてヨーロッパ一周したんですが、このときエジンバラでなんとレスリーとパットに出会ってるんですヨ。

そのころもうベイシティローラーズは解散し表舞台からすっかり消えていましたが、ファンってすごいですネ、どのあたりに住んでいるという情報をユカちゃんはファン仲間から得ていたんですね。

今ならストーカーまがいですが、住所をたよりに行ってみたら、ひゃー、向こうからパッドとレスリーが連れ立って歩いて来る。

二人は新しいバンドを結成していたんです。

「ぜひ、練習スタジオにいらっしゃい」
と、お声をかけていただき、のこのこついて行きました。

若いムスメが無防備はなはだしい、と、大人になった今では思います。

とはいえ彼らはとても紳士で、日本の女性ファンは猥雑な経験をするためにやって来るのではないと他のメンバーに熱をこめて語り、ワタシたちに新しい音楽を聞かせてくれました。

レスリーの奥様は日本人とのことでした。

今回のこの記事に写っているお三方はメタボな好々爺で、一市民として着実な生活をなしておられるのが伝わって来ます。

あのころ小中学生だったワタシらは女子大生ブームを経てバブルを謳歌し、それからは息つく暇なく仕事や家事や育児や介護に奔走しているわけですが、かつてのアイドルにもいろいろあったのだろうなあと、写真を見れば見るほどしみじみしてきちゃいます。


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このあと雲がぐんぐん広がりました。

前菜は、ニンジン千切りサラダ
主菜は、仔羊あばら肉ソテー、にんにく風味じゃがいもソテー、いんげん塩屋で、グリーンサラダ


立ち呑み日記・抗議マニフ [追究]

フェイスブックを開いたら、9月21日の国際平和デーに先がけてパリ市内で在パリ日本人による安保法採決への抗議デモがあるというので行ってみました。

フランスの平和団体が主催するデモに、戦争法およびその採決のされ方に異議をとなえる日本人グループが
「いっしょにやっていいですか」
と聞いてみたら
「どうぞどうぞ」
と快く受け入れてくれたのだそうです。

日本では、若者を中心にデモが根付きつつありますよネ。とはいえまだまだデモと聞くや「直訴」「一揆」のたぐいと敬遠する方々も多いようにも思います。

ワタシもまた日本語で「デモ」と言われるといまだに、ヘルメットに角材持って機動隊ともみ合うさまが真っ先に頭に浮かんじゃいます。

ところが、フランス語の口語で「マニフ」とこう聞こえてくると、タイコがタカタカ、他の楽器も適宜鳴るなか思いのたけを書いたものを首から吊るし、ないしはそのボードを旗のようにかつぎ、あるいは別にこれといったものを持たず、老若男女が好き勝手にのろのろ歩きしているさまが見えてくる。

「マニフ」もとい「デモ」は、おのおのの主張を発揚する場です・・

・・とはいえワタシだってバブル世代ですから慣れているというわけではないんです。うちのフランス人のオトーサン(ワタシのオットです)ならマニフといったら水を得た魚なんですが。

告知版に示されていたメトロ駅を出ると、日本人会で顔見知りの男性が、前と後ろにフランス語でスローガンを大きく書いた紙のちゃんちゃんこをまとって立っておられました。

「ABE A BAS(アベをはずせ)」、
スローガンは見た目もすっきり、韻をふんでいてすばらしい。

つい先日、パリのマニフというと中心の場となるレピュブリック(共和国)広場で在フランス日本人70名からが集まった戦争法案抗議マニフがあり、
この時に作られた標語だそうです。

「歌もあるんですよ」
と、その男性。

「男と女」のメロディーで、というのがいかにも在フランス風ですが、♪ダバダバダ、ダバダバタ~・・を、
♪アベアババ、アベアババ~・・

「弱っちいのよね歌うと」
「そうそう、闘争っていうより海辺で恋しちゃってる感じ」
と、プラカードかついだお仲間の女性お二人がニコニコなさいます。
「でも武力で抗議するわけじゃないしね」
「そうそう、平和な感じがいいワ」

全体を主催する平和団体の方々は、世界各地のあやつり人形を生きているように動かしながらあの人この人と語り合っています。それを縫うように、ギター抱えた茶褐色の肌の男性がフォークソング風の歌を歌っています。

和やかなマニフです。

「日本の方々ですね」
と、60がらみのフランス人マダムに話しかけられました。

マダムはもともと社会学者で、ユネスコと連携してレバノンをはじめとする中東の平和団体を主宰していているのだそうです。

日本人の一団は初対面どうしが多く、おたがい自己紹介しあったりしました。

「写真とりまーす」
と、日本の抗議デモの主催者の方が手をメガホンにして内心ふつふつと怒れる日本人たちを集め、プラカードとともに写真におさまりました。


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「ケバブ」の看板は下から火で炙っている感じがよく出てるんですヨ(写真がヘタでその『感じ』がうまくつたわらなくてすみませぬ)。

前菜は、カボチャのポタージュ(の残り)、トマトサラダ
主菜は、コルドンブルー(七面鳥ささ身のハムチーズはさみフライ)、白隠元豆とさいの目ニンジンのトマト煮込み、いんげん塩茹で、グリーンサラダ



立ち呑み日記・ラジオに出演 [ワルガキ]

「今晩ラジオに出てもいいでしょ、出るからね」
と、息巻く12歳のムスメ。

NRJというFM局の、有名男性DJがナビゲートするリスナー電話参加型番組に応募してみたら、すぐさまスタッフから連絡があったのだそうな。

NRJはフランス語でリエゾン(つづけ読み)して「エネルジー」つまり「エネルギー」と発音し、当代絶賛流行中の音楽ばかり終日流している、80年代開局以来若者に人気のFM局です。

「深夜トラックの運転手さんとかによく聞かれてる番組」
と、知ったふうなムスメ・・

・・ということはなにひょっとしてベッドに入ったふりしてこっそり聞いてるんじゃないでしょうねッ、
と、目を剥きかけました。

オカーサン(ワタシです)とて実のところ経験ありますからね。自室で勉強しているふりをして、音をしぼってラジオをこーっそりつける。

「天才・秀才・バカ」という谷村新司の番組などことのほか人気で、級友にも大ファンがいました。

彼女は、親にバレるとたいへんなのでカーテンを握りしめ笑い声が漏れないよう顔に押しつけ聞いていた(当然ながらムスメにこのハナシしておりませぬ)。

「何言ってんのよ」
と、無実の罪をなじられたがごとく口をとがらすムスメ。
「ユーチューブで昼間に聞いてるに決まってるでしょ」

DJとリスナーの掛け合いがとてもおもしろく、クイズコーナーでは、
「豪華賞品があたる、かもしれないんだよ」

豪華賞品とは、「まだ発売になってないiphone」とか「まだ誰も持ってない高級ブランドバック」とかだと言うんですが、これって12歳のムスメが真に受けているだけのジョークではありますまいか。

18時ごろに打ち合わせの電話があり、本番は22時15分から30分ぐらいまで、だそうです。

「寝るしたくして歯を磨いたならいいですよ」
と、承認すると、ムスメの張り切るまいことか。

待望の18時の電話で、ムスメにはクイズの問題がメールされこれを読み上げるのが役割となったもよう。

画面のクイズを今のうちに紙に書き写し(なにしろ同じスマホでしゃべるわけですから)、晩ごはんの間もうわごとのように読み上げを練習しています。お皿のものもまた、緊張のあまり噛まずにのみこんでいるのは明らか。

「落ち着いてちゃんと食べなさい」

そしていよいよ22時をまわり、本来なら寝る時間ですがムスメは静かな場所をとトイレにこもり、家族はラジオを合わせました。

こうやって聞いてみると、DJってすごい芸ですネ。

電話口のリスナーが住む地方だの好きな動物だの、どうでもいいことを質問しながら話をグッとおもしろく展開する。

「君にクイズを出してもらうんだよね?」
と、ラジオはいよいよ始まりました。

ムスメは練習の甲斐あり、つっかえることなく棒読み完了。直後のDJトークのお蔭で、ムスメがかくもおもしろいクイズを出したかのような印象を受けます。

住んでいる町を聞かれたムスメが
「パリです」
と答えると、
「最寄りのメトロ駅どこ?」

知らない、と、答えるのであれれと思いましたが、ムスメなりに個人情報と思ってはぐらかしたんだそうです。


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8月末に撮りました。今はもうどっぷり秋です。

前菜は、カボチャのポタージュ
主菜は、仔羊腿肉ソテー、いんげん塩湯茹で、マクドナルドのフライドポテト(お昼の残り)、グリーンサラダ


立ち呑み日記・保護者説明会 [ワルガキ]

この9月に中学に上がったムスコの学級の保護者説明会がありました。

フランスの学制は6・3・3制の日本と異なり5・4・3年制、日本だったら小学校5年2学期の年齢で中学1年となります。

「今まで小学校で一番大きかったのが、今度は一番小さくなる」
と、初日に一年生とその親を前にして校長先生が訓話をなさいました。

ムスコの公立中学は敷地内に県立高校および通称プレパと呼ばれる2年間のグランゼコール準備クラスがあり、生徒3千人からがひしめく大所帯です。

公立中学は県立高校と敷地を同じくしてはいても残念ながら右から左への進学叶わないんですが、生徒たちは同じ学食で食べます。

「プレパといったら二十歳の大人ですぞ」
と、校長先生。「きみたちが小さくすばしっこからといって学食で横入りしたりなど、大きいお兄さんお姉さん方を困らせないように」

「プレパの生徒ってすごーく大きいんだよ」
と、ムスコは初日にたまげて帰って来ました。「オカーサンの二倍は、ある」

ワタシは162センチですから、どんなに背が高いとはいえ二倍まではいかないでしょうけど、うんと大人っぽく感じるのでありましょう

この日もらってきた保護者説明会のお知らせには教室番号まできちんと記されていました。

うちにはムスコの二歳上にムスメがいるので今までにも何度か入ったことのある校舎、難なく指定の教室に着きます。

が、あろうことかそこには別のクラスの説明会が入っていた。フランスだなあ、と、こんな時思うんですね、どの親も自分の教室を探してウロウロしています。

そのうちにちゃんと教室が見つかり、何ごとも無かったごとく平然と会が始まるところもフランスらしいです。

こうして教室の中ほどに席を見つけてついてみると、わが生徒時代は遠くなりにけりと感慨深くならざるを得ません。

なぜというに、黒板にチョークで書かれている先生方のお名前が裸眼ではぼやけて読めない。黒板から手元のメモ帳に目を移すと、これまた瞬時には焦点が合いません。

勉強にはやはり「旬」があると突きつけられます。

それにしても改めてメガネをかけて見る黒板の字のきれいなこと。フランス人の書き文字はなかなか読みにくいんですが、そういうのとは一線を画しています。

「ノートのでかちび文字が多く見受けられますが、家庭で矯正してください」
と、フランス語(国語)の先生は手厳しいことおっしゃいました。

「今はパソコンのおかげで字が汚くても大丈夫などと思ってませんか」
と、技術の先生も割ってお入りになりました。「最近の就活の履歴書は、だからこそ手書きを求めるところが増えているんですよ」

字をきれいに書かせる、
テナ感じに、どの親も真剣にメモをとっています(ワタシも。日本語でですが)。

でもムスコのあの汚い字、前途多難だなあ・・、
と、不安がグッと押し寄せてくるのは否めません。ムスメの時で心得ているんですが、ノートやテストの筆跡も減点の対象になるんです。

いずれにしても、いよいよムスコの中学生活の始まり。フランスの中学は4年制、その後に受験はなく、後半2年の成績で高校が振り分けられます。


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歩きながらパチリ。

前菜は、野菜ポタージュ
主菜は、フランクフルトソーセージ、じゃがいもピューレ、いんげん塩茹で、グリーンサラダ


立ち呑み日記・錦糸卵 [ランチ]

日本から遊びに来た友人から長期保存できる錦糸卵をもらいました。

こんなのあるんですネ。

デワデワ、たからのもちぐされにならぬよう、ともにもらったちらし寿司のもとといっしょにさっそく食べることにします。

日本のこういうスグレモノの食べ物をいただくともったいなくて後生大事と戸棚にしまいこみ、はっと気づくと賞味期限が切れている、ということが、これまで何度あったことか(泣)。

錦糸卵って、なんだか胸がワクワクしません?

薄く、細く、黄色いお素麺みたいながられっきとした卵焼きで、冷し中華もちらし寿司もお蔭で「感じ」がでる。

一度でいいから錦糸卵のおテンコ盛りを手づかみでわしっとほおばってみたいナー、と、ワタシなど子どもの頃夢見たものでした。

当然ながら、今にいたるまでその夢叶わず。

「では叶えて進ぜよう」
と、今不意に神様が現れて、おごそかに告げられたらどうでしょうか。

「・・・あのでもやっぱりいいです」
と、すぐさまお断りしそうです。

なぜというに、大人になって久しい今では錦糸卵ばっかりそんなには食べたくない。

かといって冷し中華やちらし寿司にまるっきりないのはさみしいです。やはり、ちゃんとあってほしい。それも黄色いのがたーっぷり散らされていてほしい。

「だったらわしっといきたいであろうが」
と、神様に追及されそうですが、わしっとは行きたくないんです。

ノドつまりそう。やはり、ほどほどがいいです。

錦糸卵を家で作る時、ワタシはこれまで成功したためしがありません。薄焼きオムレツの乱切り、テナ感じになっちゃう。

クックパッドで調べてみたら、乾かし焼きにするには焼き上がってもすぐにはフライパンからはがさずにしばしそのまま置いておくといいんだそうです。

「火の前で待っていると長く感じるのでその間別のことをします」
というアドバイスが穿(うが)っています。

で、パサっとなったところで悠然とはがし、くるくる丸める。そのほうが細切りにしやすいそうで、なるほど、これなら乱切りになりそうにありません。

錦糸卵どーっさりは子どもの夢だなあ・・と、重ね重ね思いますね。

いえね、はるか昔になりますけど、通っていた女子校に「感謝音楽祭」という行事があったんですね。両親はもとより保証人や恩師を大講堂にお招きしてコーラスを聞いていただく。

仕事のある方が来られるよう午後6時ごろから始まり、幕間に持参のお弁当を食べていただくんです。

「感謝をこめて出来るだけ生徒手作りのお弁当を」
とのことで、がんばる生徒も多かったです(ワタシは親に来てもらいお弁当なしでズルく逃げました)。

当日、ワタシの席の斜め前の級友が恩師をお招きして、手作り弁当を得意げに「どうぞ」と差し出しました。背後からのぞきこむと、素敵な曲げ木のお弁当箱に錦糸卵がみーっしり敷き詰められている。

ヘーエおいしそうとさらにのぞきこむと、錦糸卵の下はおかずもなく白いご飯のみ。

親や先生や保証人の年齢になってみれば、まぶたが落ちてくるようなコーラス発表につき合わされる上に生徒の手作り弁当はちょっとあれかなと思います。


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窓からパチリ。秋深まってきました。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、残り肉(ステーキ)とじゃがいもの赤ワイン煮、いんげん塩茹で


立ち呑み日記・地産地消 [買い物]

遠いほうのマルシェに行ってみると、一軒の青物屋ばかりおッそろしく長い行列が伸びていて、隣りの屋台をくの字に取り巻かんばかりになっている。

これ幸いとそのシッポをつかみました。こないだ来た時は隣りの隣りの屋台まで行列がいってましたから、今日はまだいいほうです。

なぜこんなにも人気が集まっているかというと、この青物屋さんはパリ近郊の農家なんです。

地産地消、ですネ。いちどためしに買ってみたらまあ、トマトもサラダ菜などの青菜類も、おどろくほど味が濃い。

そして、安い。スーパーの野菜売り場のトマトや青菜にはもう戻れなくなりました。

ワタシなどその存在をつい先日知ったばかりですが、界隈では有名だったもよう。行列には、やはり遠征してきている顔見知りのオカーサンオトーサンが何人も混じっています。

待たねば買えないと腹をくくっているからか、列で本のページをめくっている人が幾人もいます。

お役所や病院の待合室などで待つのと違い誰にもイライラした感じがないのは、やはり安くて滋味深くておいしいものが目前に待っているからでしょうか。

立ち働いているのは、生産者である50がらみのご主人とおかみさん、今年80になるというご主人の御母堂。

「古色蒼然ヨ、けっこうガタ来てるし」
と、御母堂を横目でちらっとやりながら、列に向かって小声でご主人。

「聞こえてるよ」
と、御母堂はぴしゃりと言い返します。そういうやりとりがまた好ましく、長い列もそんなには苦になりません・・

・・とはいっても、牛の歩みながら番が近づいてくるのはうれしいものです。土まみれのじゃがいもの箱が、いよいよ目の前に来る。

この箱の横に、前回はロケットサラダが置いてあり、列の後方まで胡麻みたいな芳香が漂いました。

このとき、待ちきれない客が次々と箱に手をつっこんで選ったので、
「ロケットはここに置いちゃだめってあんなに言ったでしょうが」
と、ご主人はおかみさんに頭ごなしにやられることとなり、本日はお店の人にしか触れない場所に鎮座しています。

それでも目の前のじゃがいも箱から、常連さんは前回買った時の紙袋をリサイクルに持参して、買いたい分を選りわけています。

(♪いーけないンだーいけないンだー)
と、白い目で見る間もなく、
「それ禁止ッ、没収!」
と、生徒を叱りつける校長先生よろしく人差し指を振り上げるご主人。「こっちがちゃんと選んであげるから」

常連さんも紙袋はリサイクルのために持って来ているわけですから空袋の束をむしろ積極的にご主人に手渡し、選ったものが入った袋のみ手に残して
「次回からはしないって約束する」

生産物を右から左に売るのは仕入れるよりずっといいね、と、一人の紳士が話しかけると、
「そうでもないぜ」とご主人。

翌日は雨の予報ですが、そうすると完熟トマト300ヘクタールの畑ごと全滅なんだそうです。

「なら傘さしかければいいのよ」
と、暢気な声で、ワタシの前にいたマダム。

いったい何百本の傘広げればいいと思ってんのよ、
と、ご主人があきれ声だすうちに、いよいよワタシの番がまわって来ました。


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昔ながらのカフェが減って、このテのこぢんまりしたお店が増えたように思いますです。

前菜は、キャビア(ひとくちパンケーキにクリームぬった上にのせてレモン)、トマトサラダ
主菜は、鶏ロート、じゃがいもロースト、いんげん塩ゆで、グリーンサラダ



立ち呑み日記・日本文学 [ワルガキ]

12歳のムスメが、いよいよ歯の矯正リングを付けることになりました。

今回初めて知ったんですけど、歯の矯正って歯のひとつひとつに金具をじかに接着固定してするものなんですネ。

で、金具に半円形になった針金をはめ渡す。すると時間がたつうちに歯は次第に動き、2~3年後には半円に沿った美しい並びになる、というわけです。

「私もバカンスで日本に行ったことあるのよ」
と、矯正歯科の若く溌剌とした女性の先生は、治療台に見るからに緊張して横たわるムスメに明るく話しかけながらお始めになります。

「京都も東京も素敵でハマっちゃって。日本いいワァ」
と、ムスメの横でやはり息をつめるなりの日本人のオカーサン(ワタシです)に向かって歯並びのいい口許でニッカリ。しゃべりながらも手は着々と動き、一つ、また一つと金具が接着されていきます。

「私、読書が趣味で日本文学もけっこう読でるの。読んだことある?」

んああ、と、口開けたままかすかに頭を横に振るムスメ。ムスメはフランス語になっている冒険小説は大好きでかじりつくほうですが、日本語の本となるとおぼつかないことこの上なく、『ぐりとぐら』で止まっています。

「イノウエ、知ってます?」
と、先生はこちらへ目を向けました。「『猟銃』、すばらしい小説でした」

井上靖のこの短編は昨今の日本ブーム以前から訳されていて、今まで何人もの日本通から
「読んだ、素晴らしかった」
と、熱をこめて話しかけられています。

先生は村上春樹も『1Q84』三部はじめ翻訳本はほぼ全部読了しているものの、
「好みかって聞かれたら、ちょっと違うかな」

もっと昔の日本が描写してあるような小説が、雰囲気が味わえて好きなのだそうです。

「『眠れる美女』、最高だったワァ」
と、一瞬手を止めてうっとりするやムスメに向かって
「『森の』は入らない『眠れる美女』よ」

男が、寝床でぐっすり眠っているうら若き美女の横に入ってともに眠るだけなんて
「西欧の作家にはぜったい思いつかないと思う」

この若い美女ってある意味娼婦なんだけど身体は許さず眠ってるだけなの、
と、先生は事情のよくわからないムスメに説明してくださるんですが、小説の内容が12歳向けとは言い難く、横でややヒヤヒヤします。

でも、ノーベル賞作家川端康成の作品ですからね。

「カワバタといったら『伊豆の踊子』も読んだわ」
と、先生はまあホント、日本文学に精通しておられ驚くばかりです。

「最後に主人公の青年が、泣きながらスシ食べるの」

スシっていうか、海苔巻きですよネ。

二十歳の一高生で孤児根性のしみついた「私」が伊豆を旅し、出会った貧しい旅芸人の一行との交流から心を和ませるようになり、東京へ帰る船中で同室となった少年がくれようとする海苔巻きを素直な気持ちで受け取る。

「あら勘違い、スシじゃなくてマキ?」
と先生。

昨今のスシブームで、マキ(巻き寿司)なんて言葉も浸透しているんです。

「そうするとアボカド入りのフトマキかしら」

先生は干瓢(かんぴょう)巻きの存在をご存知なく、説明に少々てこずりました。


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通りがかりにパチリ。奥はマドレーヌ寺院です。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、シュークルート(牛肉および豚肉のフランクフルト、キャベツの酢漬け)、モロッコいんげん塩茹で、じゃが

立ち呑み日記・夢の缶詰 [困った!]

この夏日本に一時帰省しているとき、実家の老父がパンの缶詰というのを買ってきました。

フランスから来た孫を喜ばせようとしているのは火を見るより明らか。

これじっさいは備蓄食で、
「2009年にスペースシャトルに搭載」
だそうですから、たいへんな技術の結晶です。

ヘーエどれどれ、と、手に取りながら、アアいかにも1970年代のオトーサンの買いそうなものだなあ・・と、しみじみしちゃいましたヨ。

カラーテレビの「ひみつのアッコちゃん」(再放送でなくお初のです)あたりにかぶりついていたころのワタシなら目の色かえてすっとんできて、
「あけて! 今すぐあけて!!」
と、盛大にやったはずです。

「慌てなさんな」
と、そのころのオトーサンといったらやたら威張ってもったいをつけ、この缶詰がいかにめずらしいかとうとうと講釈たれたはずです。

あのころ、缶詰って今よりうんと、うーんと価値がありましたよネ。桃やパイナップルやみかんの缶詰を「あける」となると嬉しかったもンでした・・

・・・とこう書きながら記憶の闇をぬって不意に思い出したんですが、通称「モコモコ」という缶詰アイスが、そのころありました。凍らせた缶を開けると、あわ雪のようなシャーベットがモコモコーっととび出てくる。

「モコモコ」を開ける時のワクワク感といったらなかったです。

あと、今なら「カルディ」がありますし、外国の珍味といったってさして驚くことなく試しますが、あのころは輸入食料品店であてずっぽうに外国製の缶詰を買ってみたりすることがままあったように思います。

うちなどもそういうところからエスカルゴの缶詰が晩ごはんのおかずにのぼったことがありました。

「フランス人はでんでん虫を食べるらしい」
と、1970年代初頭、昭和ひとケタのオトーサンといったら学生時代にジャン・ギャバンをはじめとするフランス映画に惑溺してますから知識があったところ、モーレツ社員として残業こなして帰る道すがら、輸入食料品店に積まれた缶詰の実物に出合う。

こういう輸入食料品店ってなぜか遅くまで開いてますよね。

(エスカルゴ?)
と、学生時代、第二外国語あたりで勉強したフランス語がここへきて初めて役に立ち、ヨシいっちょ買ってみっかと手に取ります。

このエスカルゴの缶詰、オカーサン(ワタシのオカーサンです)が心底気味悪そうな顔してキコキコ開けていたものでした。

あとそうそう、缶詰といえばなんといっても「オモチャの缶詰」、ワタシなどみごと金のエンゼルを引き当てたことあるんですヨ(エヘンエヘン)。

胸躍らせ開けてみれば、グリコのおまけみたいなのがいくつか入っているのみで、ややガッカリでしたけどネ。

とはいえ缶詰の醍醐味はやはり開ける瞬間、缶詰には夢が詰まっている。老父もまたそう考えパンの缶詰なるものを買って来たわけです。

ところが、二匹は実にそっけなかった。「アリガト」と、いちおう言ったのみ。二匹にとって缶詰はランクの落ちた食べ物でしかないんですね。

仕方なくぎゅう詰めトランクに隙間作って押し込んでパリに持ち帰りましたが、ハテいつ開けるべきか、なかなか迷います。


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フランスは9月が新年度。超エリート校エコール・ポリテクニック(理工科大学校)の新入生がオバカをやっているの図。彼らが将来のフランスをけん引します。

前菜は、メロン
主菜は、オムレツ、鶏ロースト(の残り)、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で






立ち呑み日記・愚かなまま死ね [おでかけ]

劇場で、心没入して鑑賞している佳境で携帯の着信音が聞こえてくるぐらい腹立たしいことはないです。

許し難いことこの上ない。

いえね、「Je ne veux pas mourir idiot(愚かなままで死にたくない)」という、軽妙で笑いがいっぱいながら胸にズシンとくる芝居を、しかもその初日に観に行ったんですね。

この一月のテロで斃(たお)れた、フランスを代表する風刺漫画家ヴォランスキーへのオマージュ公演です。

初演は1968年5月の学生運動の時代、ヴォランスキーと、演出家で俳優コンフォルテス、当代人気急上昇中で「歌う物理学者」という変わり種のシンガーソングライター・エヴァリストの三名が軸となって制作しました。

この作品は、68年5月のバリケードを舞台背景に、社会に異議を唱える女子学生、若い一工員、機動隊員、ごくふつうの人、支配層の五名がそれぞれの展望の違いをおもしろおかしく浮き彫りにしていきます。

大別すれば、旧態依然とした世界にあぐらをかくばかりの大人と、社会の殻を破って新しい価値を見出そうとする若者。

短いスケッチがいくつも展開し、それを縫って狂言まわし的にエヴァリスト(役の俳優)がギター抱えて歌います。

繰り返されるルフランが、
♪Je ne veux pas mourir idiot(愚かなままで死にたくない)・・

社会のあり様に目をふさいで卑近なことばかりに囚われていていいの? という自戒の警句です。

たとえば、登場人物の「ごくふつうの人」とは、「ご都合主義の日和見主義で、他人の意見を我がものとして発言し、賢(さか)しく、常に強い方へつく」人。

「ふつうの人」は報道記者としても登場し、目の前でたいへんな学生紛争が巻き起こっているというのに、
「カンヌ映画祭でも記事にしようかナ」
と、なきがごとくふるまうんですが、これなど先月30日の日本の国会周辺デモとその報道の状況と重なって唸(うな)りました。半世紀近く前の作品というのに色褪せるどころか普遍的なテーマです。

今日と一番違って描かれているのが、機動隊員です。

機動隊員は秩序の名をかざして警棒を振り上げ、隙あらば誰彼となく激しく打ちつけます。当時の機動隊とバリケードを築く学生とは敵対関係でしたからね。

「Je suis Charlie(私がシャルリだ)」
と、テロを我がこととして捉えた惹句が席巻した大デモ以来、警察は敵対どころか心強い存在となり、
「Je suis Police(私が警察だ)」
とも飛び交ったくらいです。

今回のこの追悼公演も、劇場前に複数の警官が見張りに立つなかで行われています。

さて、うちのフランス人のオトーサン(ワタシのオットです)が制作関係者と縁のあるところから家族そろってかぶりつきの特等席をいただき、舞台はいよいよ最終版のクライマックスを迎えます。

全員が舞台にそろい、声をそろえて畳みかけるように
♪Je ne veux pas mourir idiot(愚かなままで死にたくない)・・

・・・と、そこで、あろうことか携帯の着信音が響き渡ったんです。

それも、ワタシのバッグの中から。気の動転するまいことか、指ふるわせて消音しました。今こうして思い出しても冷や汗が出ます。

反省なんでもんじゃないです。心から、
♪Je ne veux pas mourir idiot(愚かなままで死にたくない)・・


どうしたわけか写真が入りませぬ。スミマセンヌ。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、鶏ロースト、野菜カレーライス、ブロッコリー塩茹で

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